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京の産品図鑑

やまのいも

2008年02月 Vol.71

購入場所

京阪神、関東の大手スーパー、百貨店、小売店

生産者、農作業

水はけの良い土壌が絶対条件

この辺りでは「栗田芋」の呼び名で馴染みがあり、滋養に良いということで昔から各家庭で重宝されてきました。きめが細かく粘りの強い肉質は、高級和菓子、特に薯蕷まんじゅうの皮には欠かせないため、今でも京都市内や全国の業者が直接買い付けに来る場合があります。

30年以上栽培を続けていますが、良品を作るには、水はけの良い土壌が絶対条件だと思います。やまのいもは水を多く必要とする作物なので、大量の水をやっても“水腐れ”を起こさない、砂地のようなサラサラの土が理想です。

うねにネットを掛けてやることも忘れてはいけません。親蔓、子蔓、孫蔓と順に絡んでくれることで効果的な光合成が望め、誘引等の余分な手間も省けます。

「掘ってみないと分からない」という難しさはありますが、大きくてまん丸なやまのいもが収穫できた時はうれしさもひとしおです。これからも小分割法を実践しながら、少しでも多く作っていければと思います。

産地

小分割法で、商品、種芋不足が飛躍的に解消

個人での栽培の歴史は明治初期にまでさかのぼります。その後、昭和30年代に宮津市根菜部会が発足し、本格的な共同出荷が始まりました。現在の規模は生産者43人、栽培面積4.2ヘクタール、平成18年度の実績は出荷量約23トン、販売高1000 万円でした。

宮津支店では、約5年前から種芋を栽培する際に「小分割法」を導入しています。約4グラムの種芋を一年かけて20~30グラムにまで生長させるこの方法は、旧来のように種芋一片に約60グラムも必要としないため、商品と種芋を安定的に確保することができ、売上にも大きく貢献しています。

今後は、栽培面積を一人当たり5アール以上、総栽培面積を7ヘクタール、出荷量を40トンに拡大していく予定です。

収穫までの流れ やまのいも(宮津管内の場合)

3月 中旬 ほ場準備(耕うん、土改剤)
4月 上旬 種芋準備
中旬 ほ場整地(うね立て、整地)、植え付け
下旬 除草剤散布
5月 上旬 基肥施用
中旬 支柱立て
6月 上旬 芽かき
中旬 追肥
7月 上旬 排水対策
中旬 敷きわら
下旬 土寄せ
8月 中旬 うね間かん水
9月 上旬 排水対策
10月 下旬 収穫開始、天候を見ながら随時収穫
11月 下旬 貯蔵

おすすめの一品

福知山市ヒロコクッキングスクールさん直伝
やまのいもの小麦まんじゅう

  • 材料(4人分)
    • やまのいも 正身50g
    • 砂糖 80g
    • 薄力粉 80g
    • ベーキングパウダー 小さじ1(薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるう)
    • 粒あん 200g程
    • やまのいも、さつまいも、カボチャ 各少々
    • 片栗粉、へぎ板
  • 作り方
    1. やまのいもは厚めに皮をむいてコロコロ切りにし、フードプロセッサーにかけてすりおろす。
    2. カッターの刃を変え、砂糖を加えてよく混ぜ合わせ、砂糖のざらつきがなくなれば合わせた粉類を加えて軽く合わせる。台に取り、手で折りたたむ様にくり返し練り、なめらかな生地に仕上げる。
    3. やまのいも、さつまいも、カボチャは1?角に切り、それぞれ固ゆでにする。
    4. 粒あんを12個に分けて丸め、(2)の生地も手に片栗粉をつけながら12個に分けて丸める。
    5. 生地を平らにして、あん、野菜の順にのせ、空気が入らぬように包んで丸め、へぎ板やホイルをつけて蒸し器に並べ、芯に入れた同じ野菜を上に飾る。
    6. 霧吹きで水をかけて打ち粉を落とし蓋の間にさらし、布きんをはさんで強火で10~15 分蒸す。熱々をうちわであおぐとつやよく仕上がる。

ひとくちメモ

粘りの強いやまのいもは、まとめてカッター等ですりおろし、使う分量に小分けして冷凍保存しておくととても便利です。薯蕷まんじゅう程難しくなく、手軽に身近な小麦粉で作ってみました。野菜の角切りが甘さをひかえて、また色よく仕上げてくれます(動画で詳しい包み方をご覧下さい)。

伴みずほ先生のやまのいものココがすごい!


伴 みずほ
京都短期大学講師
(管理栄養士)

やまのいもは中国の原産で、日本では室町時代に栽培が始められたと言われています。いもの形により、長芋、いちょう芋、やまと芋の3つに分けられ、宮津産の「やまのいも」は、つくね芋とも呼ばれるやまと芋に分類されます(※1)。水分が少なく粘度が非常に高いのが特徴で、料亭や製菓原料としての需要が高い高級品です。この粘質物は糖タンパク質で、血糖値の上昇をゆるやかにし、過剰に摂った物質を吸着させ排泄させます。芋の中では、麦とろなどの様に珍しく生食されますが、やまのいもは酵素(アミラーゼ等)が多く含まれるので、でんぷんは消化されると言われています。また、タンパク質、各種ミネラル、食物繊維が多く、葉酸、ビタミンCが少ないのが特徴です。この特有の成分特性のため、昔から漢方では山薬と呼び、滋養強壮作用のある植物性の生薬として用いられてきました。胃腸の機能が弱っていると感じる時は、やまのいものおかゆがおすすめです。

主な成分比較(100gあたり(生)で比較(※2))
  やまのいも
(やまと芋)
やまのいも
(いちょう芋)
やまのいも
(長芋)
さといも じゃがいも さつまいも
たんぱく質(g) 4.5 4.5 2.2 1.5 1.6 1.2
カリウム(mg) 590 590 430 640 410 470
カルシウム(mg) 16 12 17 10 3 40
マグネシウム(mg) 28 19 17 19 20 25
ビタミンB1(mg) 0.13 0.15 0.10 0.07 0.09 0.11
葉酸(μg) 6 13 8 30 21 49
ビタミンC(mg) 5 7 6 6 35 29
食物繊維総量(g) 2.5 1.4 1.0 2.3 1.3 2.3
  • 1 日本食品大事典(医歯薬出版) 参照
  • 2 五訂増補 日本食品標準成分表 参照

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