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2020年12月 Vol.225

聖護院かぶの販路拡大の取り組み

営農部南丹広域営農センター

聖護院かぶの販路拡大の取り組み

南丹広域営農センターでは、亀岡市篠地域の特産品で「京のブランド産品」である聖護院かぶの需要掘り起こしに努め、販路の拡大を図っています。

聖護院かぶとは

徳川八代将軍・吉宗が活躍した享保年間(1716~36年)に、京都市左京区聖護院の篤農家・伊勢屋利八が、近江かぶの種子を持ち帰り栽培し、京都の風土に合った野菜に改良を加え生まれたと言われるのが聖護院かぶです。

聖護院かぶが作られるようになった亀岡市篠地域は、亀岡盆地の一角に位置し、昼夜の気温差、濃い朝霧など盆地特有の気候が野菜の栽培に適しており、古くから「篠だいこん」の産地として知られていました。聖護院かぶの栽培が盛んになったのは1960年代から。根菜栽培の伝統の強みに加え、洗浄機が登場し作業効率が格段にアップしたことです。

収穫適期を迎えた松本部会長のほ場
収穫適期を迎えた松本部会長のほ場

「篠地域には伝統( 歴史)のある農家がたくさんあります。私も3代目です。ここで採れる聖護院かぶは、甘さやみずみずしさ、ち密な肉質が特長で、長年にわたり京漬物・千枚漬けの原材料として使われています」と京野菜部会篠支部かぶら部会の松本光弘部会長は話します。
現在は同部会員19人が16haの畑で栽培しており、今期は約770t(1ケース換算で5万2千ケース)の出荷を目指しています。

「京のブランド産品」に指定

篠の聖護院かぶは2007年12月に「京のブランド産品」の指定を受けました。これは「京都こだわり栽培指針」で決められた基準を満たして栽培される野菜の産地に与えられるものです。

ほ場で根と葉を切り落とす
ほ場で根と葉を切り落とす

聖護院かぶでは、堆肥の施用量や化学肥料由来の窒素成分量、化学合成農薬の使用回数などが細かく定められています。これらを遵守して栽培された聖護院かぶのうち「秀」品の「3L」「2L」「L」のみ「京のブランド産品」のシールを貼って出荷することができます。

「さらに品質の良いかぶを作るために京都こだわり栽培指針に基づいた栽培に加えて、稲作をやめて年間聖護院かぶ1作だけに集中して栽培する生産者が増えています」と営農部南丹広域営農センターの待田浩行課長補佐は話します。と言うのも、聖護院かぶは連作障害や害虫の影響を受けやすいデリケートな野菜です。近年の異常気象の中で高品質な商品を生産するには土づくりなど畑の準備から余裕を持って確実に行わなければなりません。

松本 光弘部会長

そのためにはpH(水素イオン濃度)、EC(電気伝導度)など土壌分析を定期的に行い、常に土の状態を知っておくことが大切です。pH値は6・0~6・5が適当です。土壌中にどれだけ水溶性の肥料成分が残っているかの指標EC値は、栽培前に0・2付近であれば良く、1・0を超えるようであれば次作の栽培は注意が必要です。

着実に進む販路の開拓

聖護院かぶの栽培は、例年、8月末から10月初旬に播種、2回の間引き作業、追肥を経て、11月上旬から2月にかけて収穫となります。
「京のブランド産品に指定され積極的な販売促進活動に取り組んだ結果、知名度は上がりましたが、どうしても漬物のイメージが強く、出荷のピークも年内に集中します」と、待田課長補佐は話します。そうした中、JAでは、特に1月から2月にかけて出荷となるものについて、「作ったものはすべて販売する」を目標に需要の掘り起こしに努めました。そこで目を付けたのが加工用の需要です。

待田 浩行課長補佐と前田 長平営農指導員

2017年から売り込みを進め大手コンビニチェーン、セブンイレブンとスープ加工用としての契約が始まりました。2020年にはサラダ加工用に広がり、関西圏の店舗でこれまで「京野菜の聖護院かぶらほっこりスープ」「聖護院かぶらと生ハムのサラダ」などの商品が並びました。また、今年は東京の食品会社からの問い合わせなどもあり、新たな販路開拓が着実に進んでいます。

「先日、視察に訪れた東京都内の食品会社の関係者のお話によると、聖護院かぶ本来のうま味を生かした商品の開発を考えているとのこと。生産農家としては、出荷先の期待に応えられるかぶを栽培していきたい」と松本部会長。待田課長補佐は「篠地区は京都市中央卸売市場まで車で30分という好立地にあります。その一方で、便利なだけに宅地開発も盛んです。生産面積が減ることなく、逆に拡大できるよう、担い手にかぶ栽培の可能性をアピールし、生産者を増やし産地を守っていきたい」と話します。


営農部南丹広域営農センター
〒621-0023
亀岡市曽我部町寺西川1-1
TEL.0771-29-5723

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