JA京都
暮らしのなかにJAを

JA京都 採用サイト2025

農チャンネル

2019年10月 Vol.211

スマート農業への挑戦

農事組合法人ほづ


直進キープ機能付きの田植機

日本の農家が抱える高齢化、人手不足の課題を解決する大きな鍵として期待されているのが「スマート農業」です。亀岡市の農事組合法人ほづでは、今年この新たな農業に取り組んでいます。

「スマート農業実証プロジェクト」

「最近スマート農業という言葉をよく耳にしますが、スマート農業とは何ですか? 」という声が生産者の間で上がっています。

「スマート農業」とは、ロボット、AI( 人工知能)、IoT(Internet of T hings [モノのインターネット]の略語)など先端技術を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現するなどを推進している新しい農業のことです。

農林水産省では、スマート農業を広めていくために、実際の生産現場に導入して2年間にわたって技術実証を行うとともに、技術の導入による経営への効果を明らかにするため、今年から「スマート農業実証プロジェクト」を開始しました。

北海道から九州・沖縄まで全国69地区の平地や中山間地域の水田作、畑作、露地野菜、施設園芸、果樹、茶、畜産などさまざまな作目で、スマート農業の実証の取り組みが始まっています。そこに京都で唯一参加しているのが亀岡市の農事組合法人ほづ(酒井省五代表理事)です。

農業が抱える課題の打開策として

農事組合法人ほづは、保津川下りの出発点がある亀岡市保津町にある農業法人です。2005年6月に設立( 5月設立総会)。組合員数は333戸で、保津町全域、中山間地域を含む約130haの農地を管理しています。

事業の中心は水稲栽培ですが、1998年に日吉ダムが完成するまでは度々水害に見舞われることもあり、①農業従事者の減少が進む、②分散した未整備の小区画ほ場を多数管理し、生産コストがかさむ、③管理農地の増加に対して、作業者は減少する、など京都府の農業が抱える課題が残るところでもあります。その課題の打開策の一つとして酒井代表が強く興味を持ったのがスマート農業でした。

「スマート農業によって、非熟練者でも効率的な作業ができる体制づくり、分散した未整備小区画ほ場の効率的、省力的な管理技術、産地間競争を勝ち抜く収量及び品質向上が進むことにより、コストダウンが図られ、新規就農者の確保や栽培技術力の継承等の効果が表れることに大いに期待しています」と酒井代表は話します。

酒井省五 代表理事

実証を進め、実践へ期待

農事組合法人ほづは、京都府農林水産技術センターを代表機関として組織された「京都亀岡中山間水稲生産支援スマート農業実証コンソーシアム」の実証経営体として参加し、年間を通して次のようなスマート農業を実施しています。

食味・収量センサー付きコンバイン

【耕うん・代かき】=GPS自動操舵システムを備えた自動走行トラクターで、省力化、作業効率の向上を図ります。また、後付け可能なシステムを装着することで、中山間地域の小区画ほ場にも対応。

【田植え】=直進キープ機能付き田植機( 自動操舵)で直進性、株間をキープし、均等な田植えが可能になります。また、正確に施肥量を調整し生育を安定化させます。

【水管理】=水位モニタリング( 水田の水温・水位・湿度などの環境データの把握とデータベース化)、水管理自動制御( 水位センサーとリンクした自動給水システムで水管理の省力化)により、水管理の手間を削減します。

【栽培管理】=スマートフォンにより、農林水産技術センターなどが開発した京都オリジナルアプリを利用することで生育診断ができ、中干し、穂肥、収穫適期など、経験を問わずだれもが作業適期をしっかり判断することができます。

【防除・施肥】=ドローンを利用した農薬・施肥散布により作業の省力化を図ります。

【収穫、乾燥】=食味・収量センサー付きコンバインでほ場ごとのデータを集約します。それを乾燥作業に反映し、品質向上とコスト低減を実現。次年度の施肥設計に反映することで、収量、品質の向上を図ります。

その結果、耕うん・代かき、田植え、防除・施肥、水管理では、最新技術を導入することで、作業性が向上しました。また、栽培管理、食味・収量センサーを備えたコンバインの導入により、生産性が向上しました。

組合法人の拠点、機材を格納する倉庫

「このように省力化、高品質生産を可能にし、素人でも玄人の仕事が出来るのがスマート農業のメリット。機械を扱うことがほとんどなので、女性の参画も促せます。中山間地域においては、農地、集落機能を維持する大きな力になるものと思います。

ドイツのTVクルーも取材

2年目となる来年度は最後の年となりますが、京都府農林水産技術センターの指導を受けながら、さらに実証を進め、当地での実践につなげていきたいと思っています」と酒井代表は力強く話します。

6月11日のスマート農機実演会には約200人が集まった


農事組合法人ほづ
〒621-0005
亀岡市保津町構ノ内53(公民館内)
TEL.0771-22-4135

ページの先頭へ