地方独特の野菜を小売店で見かけることは珍しくなりましたが、なすは健在です。長なす・丸なす・小なす・水なす・米なす…。なかでも群を抜いて個性的なのは賀茂なすでしょう。
あるアンケート調査では、代表的な「京野菜」の第1位に「賀茂なす」が選ばれました。
賀茂なす料理といえば田楽。横半分に切ったなすを油で揚げ、赤味噌に酒・砂糖・みりんを練り合わせたものをぬります。ある料理屋では、黒光りする美しい紫色や球形を生かしたいと、中身をくり貫いて煮物にし、皮は生のまま器に見立てるそうです。
京都市内を流れる「かも川」は出町柳を境に南を鴨川、北の支流の一つを賀茂川と書きますが、名水の地にはおいしいなすが育つという事実をその名が伝えているようです。