丹波くり
2007年09月 Vol.66
生産者、農作業
剪定の良し悪しが、栗の出来を大きく左右します(和知支店管内)
栽培を始めて約40年になりますが、最近になってやっと分かりだしたかなっていうくらい、農業は奥が深いものですね。勉強会があれば全国どこへでも参加しますし、難しいことや専門的なことはよう説明できませんが、“こういう場合はこうする”、“この時期ならこれをする”という具合に自分なりに理解しながら実践しています。
土壌や水の管理に加え、近年はJAさんの指導で低樹高栽培に取り組んでいます。樹高を3.5メートルに制限することで、風害を最小限に抑えられ、また剪定や農薬散布等の栽培管理の省力化も図れます。特に剪定(芯抜き)は肝心な作業の一つで、木が休んでいる冬の間に、隅々までお陽さんが入り込むようにしっかりとしておきます。
丹波くりは大粒で甘みがあり、さらに香りもいいんです。加工グループにも参加しており、収穫がひと段落すれば「マロン大福」を作って道の駅で販売しています。栗栽培はやったらやっただけの事はありますし、何より“好き”ということが一番大事だと思います。
良質な栗を収穫するには接ぎ木は不可欠な作業。昔は高接ぎが主流でした。
産地
低樹高栽培の推進、品種改良に取り組む
日本書紀(720年)に登場するほどその歴史は古く、JA京都管内でも長年にわたり栽培が行われてきました。出荷に関しては、以前は支店ごとでしたが、現在は和知支店に一元化されており、内訳は地方発送と小売、京都市場への出荷となっています。主な品種は、早生種が丹沢、国見、大峰、中生種が筑波、有磨、銀寄、晩生種が石槌、岸根、正月。管内全体の規模は、栽培面積が約200ヘクタール、2006年度の出荷量が66.7トンでした。近年の取り組みとしては、低樹高栽培の推進、京都府林業試験場とタイアップしての品種改良等が挙げられます。
- 収穫までの流れ 丹波くり(和知管内の場合)
-
10月 下旬 (収穫後)お礼肥、ほ場の掃除(いがの撤去等) 12月 元肥施用 1月?3月 剪定 4月 接ぎ木、害虫の駆除 5月 芽掻き、草刈り(年に3回) 6月 消毒 8月~10月いっぱい 収穫
おすすめの一品
福知山市ヒロコクッキングスクールさん直伝
丹波くりのスピードおこわ
- 材料(4人分)
- 丹波くり 500g程
- もち米 3合(540cc)
- (A)水2.5カップ、みりん大さじ1.5、塩小さじ1.5、昆布8cm角
- 作り方
- 丹波くりは熱湯につけて冷めるまで置いてから皮をむくとむきやすく、渋皮もきれいに取れる。皮をむいてから一口大に切る。
- もち米を洗う。
- (A)を鍋に合わせて沸とうさせ、(1)を加えひと煮立ちさせて取り出し、(2)の米を加えてかき混ぜながら汁気がなくなるまでしっかり煮つめる。
- 蒸し器にクッキングペーパーを敷き(3)の昆布を取り出して広げ、丹波くりをちらしてふたをし強火で10~15分蒸す。このとき茹で小豆を加えて共に蒸しても良い。
- ひとくちメモ
-
丹波くりは大粒で甘くて香り良いのが特徴。ビタミン各種やミネラルたっぷりの栄養食品です。さっと火を通してから蒸すと色もきれいで甘味も増します。
煮立った煮汁に洗いたてのもち米を加えて水分をしっかり含ませ、強火で短時間蒸すのが目からウロコのつやつや蒸しおこわのポイントです。
伴みずほ先生の丹波くりのココがすごい!
伴 みずほ
京都短期大学講師
(管理栄養士)
秋の味覚である栗は、縄文時代から食され平安時代の初期には京都の丹波地域で栽培され始めたようです。各地の藩主がこぞって朝廷や幕府に献上したという「丹波くり」ブランドは高品質の証です。粒が大きく肉質が締まっており、渋皮がはがれにくく風味が強いのが特徴で、各種料理の具材、甘露煮などに向いています。細かいデンプン粒子はまた上品な味わいを生み出すあんとの相性がよく、和菓子には欠かせない素材です。
種実類である栗は、脂質がくるみよりも圧倒的に少なくデンプン質に富み、渋皮も含めると食物繊維はさつまいもの2倍です。ミネラルやビタミンが豊富で、なかでもみかん並みに含まれるビタミンCは、さつまいもと同様にデンプン質に包まれ、加熱による破壊が少なく効率的に摂取できます。
渋皮には渋みのもとであるタンニンの抗酸化作用等が知られていますが、最近渋皮にわずかに含まれるポリフェノール抽出物(ブドウの種にも含まれる)に、血糖値上昇抑制効果が認められました※。栗の渋皮煮は、渋い皮がついたままでもおいしく食べられる工夫がされています。自然の恵みを利用してきた先人の知恵に頭がさがります。
主な成分
日本栗(生) | くるみ(炒り) | みかん(生) | さつまいも(生) | ||
---|---|---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 164 | 674 | 46 | 132 | |
脂質(g) | 0.5 | 68.8 | 0.1 | 0.2 | |
食物繊維総量(g) | 4.2 | 7.5 | 1.0 | 2.3 | |
ミネラル | カルシウム(mg) | 23 | 85 | 21 | 40 |
マグネシウム(mg) | 40 | 150 | 11 | 25 | |
ビタミン | β-カロテン(μg) | 37 | 23 | 1000 | 23 |
ビタミンB1(mg) | 0.21 | 0.26 | 0.10 | 0.11 | |
葉酸 | 74 | 91 | 22 | 49 | |
ビタミンC(mg) | 33 | 0 | 32 | 29 |
- 五訂増補 日本食品標準成分表参照
- カネボウフーズ(株)20050921 プレリリース