なす
2006年08月 Vol.53
6月下旬~10月上旬
生産者の声
一番のポイントは追肥と潅水を徹底すること
まずは肥料を切らさんこと! 肥料切れになってしまうと10月までの収量がどんどん落ちていきよるからねぇ。畑の様子を見ながら…一概には言えませんが、大体10日に1回の割合でマルチに直接穴を開けての投入(穴肥え)や、通路へ追肥をしています。加悦では町全体の取り組みで「自然循環型農業」を行っています。うちで使っている「京の豆っこ」という肥料も、町内の豆腐工場から出た?おから?に魚のあらを混ぜて作られた有機肥料なんですよ。潅水も同じくらい大切な仕事で、梅雨が明けると週に1、2回は必ずやっています。それにしてもなすほどデリケートな野菜はそう無いねぇ。風が吹いただけで実に傷が入りよるから、わき芽かきや葉っぱの剪定、摘果のほかに、畦には防風用にソルゴーも植えています。
これからはどんどん暑くなりよるから、収穫は朝4時半から8時の間が勝負ですわ。うちでは漬物や油炒め、麻婆なすなんかにして食べてます。「黒陽」は加悦支店、にしがきでも販売しているので一度食べてみてください。
- 収穫までの流れ なす(加悦管内の場合)
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排水の徹底 堆肥の投入 畝立て
元肥の投入
マルチ張り
苗の定植- 同時に仮支柱を立てる
本支柱(アーチ)を立てる - 枝の誘引
わき芽かき 収穫 - 梅雨明け後は、潅水…週に1、2回
追肥…10日に1回
生産地の紹介
(株)西利、にしがきの契約産地
平成9年の弥栄町、久美浜町、峰山町、大宮町、野田川町でのJA京都丹後加工契約野菜部会の発足を皮切りに、その後丹後各地で同様の野菜部会ができ、加悦でも平成13年にJA京都丹後西利加工契約野菜部会が誕生しました。
現在は主に(株)西利との加工契約販売として短系の「千両2号」を、また地元スーパーのにしがきとの業者委託契約販売として中長系の「黒陽」が栽培されています。現在の規模は生産者8人、栽培面積62アール、実績が1280万円(平成17年度)となっています。シーズン中には毎月1回、業者と生産者、JA京都の立ち会いのもと目合わせ会が行われています。
伴みずほ先生のなすのココがすごい!
伴 みずほ
京都短期大学講師
(管理栄養士)
なすには多くのことわざや言い伝えがあり食生活を豊かにしている万能野菜、加熱によって甘みが増し果肉にとろみがつくのが特徴です。最近注目されている成分は、なす特有の紫色を呈する「ナスニン」、なすのアクと呼ばれる「クロロゲン酸」、どちらもポリフェノール(抗酸化物質)、そしてなす特有の苦味「アルカロイド」(薬効)です。
さらに、なすは発ガン物質によって体細胞がガン細胞に変化することを防ぐ作用が野菜の中でもずば抜けて優れ、しかも調理中に加熱をしても成分が壊れにくいことが示されています(*)。なすのポリフェノールは水溶性、茄子紺を生かしたイタリアン田楽は油の加熱で色の溶出を防いでいます。昔ながらの汁ごと頂ける調理法もおすすめです。
*(日本食品工業学会誌) 38, 235-241 (1991)
おすすめの一品
福知山市ヒロコクッキングスクールさん直伝
なすのイタリアン田楽
- 材料(4人分)
- なす 4個
- ピザ用チーズ 40g
- にんにく 1/2片
- バジル 3~4枚
- サラダ油
- A(田舎みそ大さじ1強、マヨネーズ大さじ3~4)
- 作り方
- なすはがくを見栄えよく残してぐるりと切り、縦半分に切る。皮目を少々落としてすわりを良くし、切り口に格子の切り込みを入れる。
- フライパンに油を少々入れ、両面を7割ほど火が通るくらいに焼き、オーブンの天板に並べる。
- にんにくはおろし金にホイルを張り付けて使う分のみすりおろし、Aと混ぜ合わせておく。
- (2)にバジルをちぎって乗せ、(3)を切り口全面に塗り、チーズをちらして予熱を取った高温のオーブン220~250℃で10分ほど焼く。またはオーブントースターやグリルで2~3分焼く。
- ひとくちメモ
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なすは東洋では体を冷やす働きがあると言われ、暑い日に食べると涼しくなります。また味噌とは相性が良く、いっしょに食べると中庸※を保てる効果もあり、田楽や和え物など昔からのメニューも色々あります。今回はマヨネーズとみそを合わせ、バジルの香りを足してイタリアン風に仕上げました。フライパンで軽く焼いてから味噌などを塗って焼くと、油のビタミンEも取れますし、やわらかにおいしく早く仕上がります。バジルの代わりとして、火を通したミンチやキノコなどを入れると応用メニューが広がります。
- 片寄らず中正なこと