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「ニンジン」の栽培について

いきいき菜園生活

「ニンジン」の栽培について

弥栄支店生産課 中西 俊介

ニンジンについて

起源地は中央アジアのアフガニスタンと言われています。その後東西の方向に発展し、ヨーロッパで発展した西洋種と東の中国で発展した東洋種に分かれています。それぞれの地域環境の影響を受けそれぞれ違った姿、特性を持つようになりました。根の色では西洋種の有しているのが橙赤色(カロテン色素によるもの)です。それに対し東洋種、京都の伝統的な金時にんじんの色は赤色(リコピンの色素によるもの)です。根の形も東洋種や原種のニンジンについては細長いものが多いですが、西洋種については短根かつ先まで肥大した総太りタイプになります。日本では東洋種・西洋種の2種類のニンジンが各産地で作られています。

図1

図2

作物特性

生育適温は18~21℃で生育初期は暑さ寒さにして比較的に強いのですが、直根の肥大や着色期は敏感です。栽培所要日数は夏播き秋冬どりの作型において100~120日かかり、同時期に栽培する根菜類の大根(生育期間60日程度)と比べると約2倍の長さになるため、管理の時間が長くなります。長日植物で、ある程度の生育が進んだ状態で低温に当たると、とう立ちする植物です。感応する低温・日長で程度により抽苔の早晩が決まり、西洋種については、とう立ちしにくいように品種改良が進んでいますが東洋種は進んでいませんので、品種には注意が必要です。

全国の作型

① 夏播き秋冬どり栽培(暖地・温暖地)

7月~9月まき 11月~3月どり

② 春播き秋どり栽培(寒冷地・寒地)

3月~4月まき 7月~9月どり

③ 冬播き春、初夏どり栽培(暖地)

11月~12月まき 4月~6月どり

栽培について

日本全国様々な作型がありますが、ニンジンは冷涼な気候を好むことから生育中期~後期に向かって徐々に気温が下がる夏まき秋冬どり作型が基本になります。栽培期間が100~120日になるので播種期は7月下旬~8月下旬になります。播種時期が高温で乾燥しやすいため均一な発芽とスムーズな初期生育が上作のカギになります。また、連作は可能ですが、1~2年あけたほうが良いとされています。

ほ場準備

ほ場は耕土が深く通気・排水・保水性に優れる
ほ場を選びましょう。種まき2週間前に1㎡当たり完熟堆肥2㎏・苦土石灰150gを施し混ぜましょう。種まき1週間前に化成肥料14-14-14を1㎡当たり150gを施し混ぜましょう。

畝立て・播種

幅70㎝高さ20㎝ほどの畝を立て、畝に対して2条に筋まきします。播種時にネキリムシ対策として、ダイアジノン粒剤5をまき土壌混和した後、条間20~40㎝をあけて1㎝間隔にまきます。まき終えたら1㎝ほど覆土しましょう。覆土が多過ぎると発芽が悪くなります。

図3

図4

point!
  • ニンジンには多くの水分が必要になります。高温で乾燥しやすい時期になるので土壌水分に注意し、かん水をしっかり行ってください。
  • 初期生育が非常に緩慢なため、雑草に注意し除草を行いましょう。

間引き・追肥

本葉1、2枚から間引きをしはじめ、本葉5、6枚になるまでに間引きを完了させます。株間は8~15㎝を目安にします。

図5

ニンジンは本葉7枚のころから肥大しはじめるため、一回目の追肥を行い、本葉8~10枚のころに2回目の追肥を行います。追肥は国産高度化成14-14-14を畝の肩にまき(1㎡当たり30~50g)、同時に中耕して土を株元に寄せます。中耕は肥大を助け除草の効果もあり、土寄せは青首を解消します。

図6

point!
  • ニンジンの肥大・着色の適温は、平均気温18~21℃です。温度確保が重要ですので、適期播種を心掛けてください。

収穫

首のあたりが張ってきたら収穫適期です。大きく育ったものから間引き収穫していきましょう。

図7

注意したい病害虫
アゲハチョウ・ヨトウムシ
捕殺・薬剤散布(BT剤・マラソン乳剤)
ネキリムシ
ダイアジノン粒剤5を播種時に土壌混和
センチュウ
連作回避・緑肥の使用(マリーゴールド・ギニアグラス)
黒葉枯れ病
ベルクート水和剤を散布