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梨の食品ロスを減らし所得増大に貢献

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梨の食品ロスを減らし所得増大に貢献

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久美浜支店営農部

コンテナに入った規格外の梨
コンテナに入った規格外の梨

食品ロスの削減が世界的に問題となる中、久美浜町では特産の梨の規格外品を加工用に出荷しています。

「京たんご梨」250tを出荷

久美浜町の梨栽培の歴史は古く、明治時代からと言われています。気候風土が梨の栽培に適しており、良質の梨ができました。発祥の地とされる平田地区で収穫された「平田なし」は全国一と評されました。

その後は久美浜町や網野町で盛んに栽培されるようになりました。

今から25年ほど前には、久美浜町浦明(うらけ)、鹿野(かの)、大井、壱部(いちぶ)、網野町俵野(たわらの)に国営農地が造成され生産面積が一気に増えました。1997年には久美浜町浦明に、梨の選別・計量・箱詰めをオートメーションで行う「JA京都久美浜梨選果場」が完成し、久美浜町、網野町は京都府一の梨の産地となりました。

梨選果場では人と機械によって選別される
梨選果場では人と機械によって選別される

「収穫した梨をコンテナで持ち込むだけで、選果や果実の規格・品質の判定は選果場まかせなので、私たちは栽培に専念することができるようになりました」と選果場に出荷する久美浜町と網野町の生産者31人で組織する「久美浜町梨生産協議会」の役員・坂田清之さん(久美浜町関)は話します。近年、多い年で250tの梨を出荷しています。

久美浜町と網野町では、8月お盆前の「幸水」に始まり、9月に最盛期を迎える「二十世紀」、10月に入ると「新興」、11月になると「王秋」「晩三吉(おくさんきち)」「愛宕(あたご)」と収穫が続きます。その中で最も多く作られているのが「二十世紀梨」です。この梨はみずみずしい青梨で、特に糖度11・5度以上、Ⅼサイズ以上のものを「京のブランド産品」として出荷し、市場で高値で取引されています。

1~2%出る規格外品の利用

「京たんご梨」として出荷される一方で、果樹は出荷規格が厳しく鮮度が求められることから、規格外品として廃棄処分となるものも出ます。

選果場では、袋がついたままコンテナで運ばれて来る、収穫されたばかりの京たんご梨をラインに流します。まず人の手で袋を破り傷がついていないかを目視で確認。次に品質センサーを通して、糖度、内部の「うるみ」(みつ症状。果肉が浸水状になる生理障害)や黒ずみなど、目では見えない数値や内部の状態を検査。その後サイズごとに分けられます。それぞれの選別機器ではじかれ、ラインの最後に集まってきたものが、いわゆる規格外品です。

畑中 孝昭主任

「この施設ではシーズンを通して、多い時で250tを出荷していますが、そのうち1~2%に当たる2・5~5tが規格外品です。でも、その中には加工用としてなら十分使えるものがたくさん含まれています。
最近、「もったいない」という言葉をよく耳にしますが、規格外品の利用は、生産者手取りの向上、地球環境にもやさしい取り組みであり、規格外品の廃棄がなくなるよう販路拡大に取り組んでいます」とJA京都久美浜支店生産課の畑中孝昭主任は話します。

ワイン、ピューレ、ジュースなどに加工

JA京都久美浜支店生産課では、以前から規格外の梨を販売しています。相手先の一つが兵庫県美方郡香美町の株式会社トキワです。1985年には果実酒(梨ワイン)の製造免許を取得。選果場から送られた規格外の梨は、同社で製造する梨のワイン「梨花一輪」「梨花一輪スパークリング」の原料の一部として使用されています。今年も9月15日に740㎏の梨を出荷しました。

また、与謝野町にある「リフレかやの里」では農産加工所で「なしのじゅーす」やピューレに加工され、施設内のレストランやホテルで使用、販売されています。

「丹精込めて作ったものですから、ロスを少しでも減らしたいと思っています。しかし個人でやっていると、なかなかそこまで手が回らず、ついつい廃棄していました。その部分を選果場でやってもらっているので、とても助かっています」と坂田さんは言います。

坂田 清之さん

切ってみると中はこの通り
切ってみると中はこの通り

畑中主任は「選果場の処理能力は一日最大7tで、毎日約70~140㎏の規格外品が出ます。これを販売した売上金は少額ですが、生産者に戻すようにしています。加工用としては十分な品質の規格外品を、まとまった量用意できる産地のメリットを生かし、JAでは様々な可能性を探り、梨を無駄にしないよう販路の拡大に努めていきたい」と話します。


久美浜支店営農部
〒629-3551
久美浜町永留250
TEL.0772-84-0801

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