「京みのり」生産振興の取り組み
園部黒田支店生産課
京都を代表する米どころとして知られる南丹市園部町では、特別栽培米による米作りが盛んに行われています。
「れんげ米」から「京みのり」へ
園部町が米どころとなるきっかけは、旧園部町時代のこと。当時、町内の小学校では、米飯給食に古米が使用されていました。「子どもたちに安全・安心な新米を食べてもらう」ことを目的として行政と連携しながら取り組んだのがきっかけです。化学肥料や農薬を節減する特別なガイドラインに沿ったコシヒカリの特別栽培米でした。
1985年から堆肥の施用を主体とした栽培を研究・推進。1990年には正式に部会を立ち上げ、栽培戸数75戸、栽培面積70haでスタートしました。園部では従来から、田植えの前にれんげを植えてすきこむ伝統農法を行っており、特別栽培米は「れんげ米」と命名されました。
それから20年、取り組みは順調に推移し、府内有数の特別栽培米の産地としてこの年、「第15回環境保全型農業推進コンクール」(近畿ブロック)で、優秀賞 全国農業協同組合中央会会長賞を受賞しました。
「京みのり」のパッケージ
「20周年を機に全国展開を図っていこうということになり、それまでの『れんげ米』から『京都園部産こしひかり 京みのり』と改名されました」とJA京都園部黒田支店生産課の松尾桂一郎課長補佐は話します。
現在は、生産者の高齢化や後継者不足の影響で、栽培戸数73戸、栽培面積70haと生産規模は少し減っていますが、栽培技術をさらに向上させ生産量を増やす取り組みを行っています。
主力産地を生んだ4つのポイント
「今でこそ園部町は府内屈指の特別栽培米の産地ですが、ここに至るまでは、様々な試行錯誤の連続でした」と当初から取り組みにかかわり、現在JA京都園部支店生産振興部会水稲部会の部会長を務める森隆一さんは話します。
それには4つのポイントがありました。
①安全・安心でおいしいお米を消費者に届けようとする栽培に対するこだわり
種もみの消毒を農薬から温湯に変更。田植えでは、細植えと疎植という2つの技術で過繁茂を防止して乳白粒の発生を減らし、病害虫の適期防除を励行することで、農薬の総使用回数を減らしました。
②栽培の低コスト・省力化
疎植栽培で必要な苗の量が減り、育苗や田植え時の労力を軽減。肥料や農薬を見直し、肥料農薬費を削減。基肥に有機配合一発型肥料を施用し、追肥を行わない栽培体系を確立しました。これにより一般栽培よりも省力低コスト化を実現したことで、高齢者でも取り組みやすく、中山間地域でも「環境にやさしい農業」を行えるきっかけになりました。
③農業の基本、土作りを積極的に
牛糞(ぎゅうふん)などから作る地元産の堆肥を南丹市からの助成制度なども利用し、10aあたり1t投入し特別栽培米に適した土壌に改良しており「とにかく時間をかけ丁寧に土作りをしています」と森部会長は話します。
ちなみに堆肥は、地域内の野菜生産でも使われ、それと合わせると全量が地域内のほ場で使われており、耕畜連携による循環型農業が行われています。
④積極的な部会活動
普及センターやJAなどの関係機関が協力して栽培研修会や現地研修会を開催し、きめ細やかな活動を進めています。また、部会員が店頭でおにぎりの試食をすすめる販売促進など、お米の普及活動にも努めています。
ふるさと納税の返礼品にも
「京みのり」は現在、園部町のAコープ近畿園部店、亀岡市のJA京都ファーマーズ・マーケット「たわわ朝霧」、JA全農京都を通じて京都生協の共同購入などで販売しています。京都生協との取引は現在は複数年契約により年間数千袋単位で高値で取引されています。
JA全農京都農畜産部米穀課の植田勝基課長は「長年にわたり定期的に交流会などを開き、お米のこと、園部という地域や循環型農業の取り組みなどを、会員の皆様に紹介してきました。今ではツヤツヤしておいしい園部のお米を楽しみに待っている会員さんがたくさんおられます」と話します。
さらに昨年12月には「京みのり」がふるさと納税の返礼品に仲間入りしました。金額に応じて、10㎏、30㎏、60㎏を送ります。
「発送作業をたわわ朝霧にお願いして実現しました。全国に『京みのり』を知っていただくチャンスと考えています。今後は高い品質で平準化を図り商品価値をさらに高めることで『私も京みのりを作ってみよう』という人が増え、栽培規模が拡大すればうれしい」と松尾課長補佐は話します。
園部黒田支店生産課
〒622-0052
南丹市園部町黒田大木本37
TEL.0771-62-1688