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伝統の砂丘地農業を守る砂丘特産研究会

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伝統の砂丘地農業を守る砂丘特産研究会

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久美浜支店生産課


砂地を利用したスイカ栽培の様子

京丹後市久美浜町・網野町では、スイカ、メロン、梨など、砂丘地を生かした農業で地域活性化を目指しています。

砂丘の特性を生かした農業

京丹後市久美浜町の湊宮から箱石、同市網野町の浜詰にかけては日本海に面して延長7㎞の砂丘が続き、日本海と久美浜湾を分ける砂州になっています。
砂丘は水はけが良く、砂は比熱が小さいため、少しの熱でもすぐに温まり、温度が下がるとすぐに冷めるという特性を持ちます。

問題は、保水力のない砂丘でのかん水でしたが、箱石などでは水脈が浅くにあり、後にスプリンクラー施設が普及したことで、栽培の基盤ができ様々な野菜や果物が作られるようになりました。
その結果、梨の他に現在は、砂丘甘藷(サツマイモ)、スイカ、メロン、トマトなど、いろいろな野菜や果物が栽培されています。

砂丘は、地温が高くなる時期が早いため、作物の成長が早く収穫も早まります。また、昼夜の寒暖差が大きく水はけも良いため味も良くなります。

「メロンもスイカも甘さが際立ちますが、特にスイカは一般的なスイカでは考えられない糖度15度にもなるうえ、砂丘メロンは『雑味がない』と高評価を受けています」とJA京都久美浜支店生産課の畑中孝昭主任は話します。

砂地のハウスで栽培されるメロン
砂地のハウスで栽培されるメロン

夏から秋はフルーツを満喫

かつてチューリップや葉たばこが中心だった砂丘地の農業を今のように変えてきた生産者組織の一つが「砂丘特産研究会」(米田豊会長、7人)です。約40年前、ハウスの導入をきっかけに、将来の砂丘地の農業を考えるため、当時40代だった米田会長ら若手生産者が集まって結成しました。

研究会では、この地域に合う様々な品目・品種の検討、栽培試験を繰り返し、販売促進についても考えて来ました。

藤本 裕介さん

「現在は砂丘甘藷(サツマイモ)、夏のスイカ、メロン、トマトという作型を基本に栽培しています」と生産農家の2代目で研究会の副会長を務める藤本裕介さんは話します。現在、7人の会員合わせて、砂丘甘藷140a、メロン182a、スイカ104a、トマト108aを栽培しています。栽培技術も向上し、久美浜特産スイカ「砂丘のたまご」や砂丘メロンブランド「砂姫」も誕生。観光業とタイアップして、旅館・ホテルの宿泊客や観光バスで訪れる団体客を相手にメロンの食べ放題やメロン狩りも行っています。

海に沿って久美浜から浜詰にかけて続く国道178号沿いには多くの農家が営むフルーツ畑が広がり、夏から秋にかけたくさんの直売所が立ち並ぶエリアがあります。長年、個々のファンはついているものの、高齢化により年々先細り傾向にあり、若年層の利用も少ない状況でした。そこで京丹後市が、若い人でも気楽に立ち寄れるようにと始めたのが「京丹後フルーツトレイル」です。直売所店頭で取り立てのフルーツで作ったフレッシュジュースやスムージーを楽しんでもらうというもので、売り上げはもちろん、生産者のモチベーションアップにもつながっています。

「日本一」の呼び声も高いスイカ
「日本一」の呼び声も高いスイカ

新規就農者を増やす

研究会の藤本さんは大学の農学部を卒業後Uターンし農業を始めました。3年前には米田会長の息子・督史さんが戻ってきました。身長195㎝、中学から大学、その後は京都のクラブチームで活躍したバスケットボールの選手という変わり種。それでも「時期が来れば家業を継ごうと思っていました。農業はどうしてもかがんだ姿勢での作業が多いので苦労しますが」と話します。また、京都府が開設する「丹後農業実践型学舎」の卒業生の一人が入会し、3年前に退いた生産者に代わってスイカの栽培を始めるなど、研究会では若い担い手も育っています。

米田 督史さん

「子どもがまだ1歳半なので、20年後を考え、今までのメンバーがやって来たことをベースに栽培方法を勉強し、試行錯誤を繰り返し取り組んでいきたい」と米田さん。畑中さんは「技術は向上し品質の高い果物が生産されていますが、長年のデフレの影響でぜいたく品と位置付けられ、消費が伸び悩んでいます。情報収集を進め新しい商品展開なども考えていきたい」と言います。

藤本さんは「将来を考えると新規就農者を増やすことが必要。でも、保守的で新しい人が入りにくいうえ、新たな設備投資となると、展望を開くことができないのが現実です。仲間作りから始めて世代交代をうまく進めることで、特産物を受け継いでこられた先人の努力を今後もつないでいきたい」と話します。


久美浜支店生産課
〒629-3551
京丹後市久美浜町永留250
TEL.0772-84-0801

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