環境に配慮した実需ある米作り
営農部 亀岡広域営農センター
えさを求めて冬季たん水農法の田んぼに舞い降りた国の天然記念物コウノトリ
JA京都は、小倉製菓(大阪市淀川区)との契約栽培で加工用米「マンゲツモチ」を出荷しています。
メーカーと生産者のメリットが合致
「マンゲツモチ」は、天皇陛下が皇居内の水田でお手植えされることで有名な高級品種のもち米です。JA京都と小倉製菓との間で、このもち米の契約栽培の話が始まったのは平成22年のこと。その後、研修会などを重ね、亀岡市旭町の旭町営農組合が積極的に取り組みを進め、翌23年には出荷を開始しました。
「小倉製菓は自社製品に環境にやさしい方法で栽培した特別なもち米を使うことで他社と差別化を図りたい。生産者にとっては加工用米としてカウントされる上、補助金も付く有利な品目。両者のメリットがうまく合致しました」と話すのは旭町営農組合の人見勝洋組合長。同組合は旭町の美濃田、杉、山階、印地の4地区で結成。現在の組合員数は約150人です。そのうち約40人が、約10haでマンゲツモチを栽培しています。平成29年度の生産量は50・2tでした。
有機肥料、減農薬の冬季たん水農法
小倉製菓は「生き物いっぱい、田んぼのお米」をスローガンに、環境にやさしい米作りを求めています。そのために行っているのが冬季たん水、つまり稲刈り後の水田に冬季も水を張る農法です。12月頃、田んぼに米ぬかを散布し、水の出入りをふさぎ冬季たん水を開始します。こうすることで米ぬかをえさにイトミミズなどの生き物や微生物が育ち、豊かな土壌が作られます。また、水鳥がやって来て水田に育つ雑草の種を食べることで、除草効果が得られます。
「さらに肥料は有機肥料を使い、農薬は魚毒性の低い農薬を選定し、使用量も最低限に留めるなど、手間はかかりますが、何よりも安心・安全第一を心がけています」と副組合長の岩田康裕さんは話します。そうした取り組みの結果、平成26年には、「環境のバロメーター」ともいえる国の天然記念物コウノトリが飛来し、多くの人たちが観察に訪れました
管理法を検討し、反収の増加を
「育苗、田植え、刈り取り、乾燥・調製などは平成20年にできた農事組合法人「旭」に委託しています」と旭町営農組合事務局の平井堅一さんは話します。マンゲツモチはうるち米より収量が少ない上、乾燥時間は倍かかるということで、思ったように生産量が増えないのが現在の課題です。そこでJAの指導で栽培前の12月と中間の7月ぐらいに研修会を実施しています。
「分けつ性が弱いマンゲツモチの収量を上げるには、現在、個人に任せている日頃の管理、土作り、水の管理がポイントになります。JAとしても現地の巡回を増やし、それぞれの生産者に合わせた管理法を細かく検討し、反収の増加を図りたいと考えています」と営農部亀岡広域営農センター営農経済渉外の能瀬伸昭主任は言います。
右から、旭町営農組合の岩田さん、人見さん、平井さん、農事組合法人「旭」の加茂さん
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