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実需者から指名される加工契約野菜の産地を目指して

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実需者から指名される加工契約野菜の産地を目指して

実需者から指名される加工契約野菜の産地を目指して

丹後広域営農センター


水田を畑化したほ場での冬どりキャベツ栽培

中食が普及し加工用野菜のニーズは年々高まっています。丹後地域では国営開発農地や水田を活用し、加工用野菜の生産拡大に取り組んでいます。

急速に需要が増える加工用野菜

京都府丹後地域では、国営農地開発事業で造成された団地、512Phの農地や水田を活用し、近年特に需要が増加している加工用野菜の生産拡大に取り組んでいます。

1980年頃から働く女性やコンビニエンスストアが社会に定着し、生活スタイルの変化に伴い、惣菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を自宅で食べる「中食」が登場。加工用野菜の需要が増えてきました。

「丹後地域では早くから加工用野菜の契約栽培に取り組み、国営農地を中心に生産者や面積を増やしてきました」と丹後広域営農センターの中嶋光営農経済渉外(TAC)主任は話します。

主要作物としては、長ダイコン、タマネギ、キャベツ、カボチャ、ニンジンなどがありますが、いずれも右肩上がりで伸びています。長ダイコンの出荷量は2013年度484tだったのが19年度予定では1028tに、2010年度から加工用野菜として契約栽培を始めたキャベツにおいては、13年度までは100t程度でしたが、19年度予定は1358tと、近年急速に伸びています。

丹後各地で加工契約野菜部会が発足

A京都丹後加工契約野菜(淡路農産食品)部会 松村茂樹部会長

丹後地域では、平成9年に統一部会として加悦町、野田川町、峰山町、大宮町、弥栄町、久美浜町で現JA京都丹後西利加工契約野菜部会が発足し、その後、丹後各地で取引業者ごとに部会ができました。その一つが淡路農産食品株式会社(兵庫県南あわじ市)と栽培契約を結ぶJA京都丹後加工契約野菜(淡路農産食品)部会です。淡路農産食品との取引の歴史は古く現在の部会長・松村茂樹さん(44歳、大宮町)のお父さんが淡路農産食品の社長と知り合いで、今から30年以上前にタマネギを作ったのが最初でした。現在は大宮・網野・弥栄・久美浜の生産者38人が、タマネギをはじめ、長ダイコン、ニンジン(京くれない)、カボチャ、聖護院かぶなどを契約栽培、2019年度は年間1061tの販売を計画しています。

「契約栽培の始まりとなったタマネギは丹後の気候風土の良さや品質の高さが評価され東京の有名洋食店でも使われていると聞いています。需要はまだまだありますので増やしていきたい」と松村部会長は話します。

一方、藤原典道さん(33歳、弥栄町)が部会長を務める丹後加工契約野菜部会は、業務用キャベツで多くの取引先を相手に契約栽培をしています。2016年に設立された新しい部会で、現在、峰山・弥栄・久美浜の生産者人が、初夏どり(6月中旬~7月上旬)、年内どり(11月上旬~12月下旬)、合計1358t(19年度予定)を出荷しました。出荷先では、サラダ用(千切り)や野菜炒め用(角切り)をはじめ、ギョウザ・お好み焼き用(みじん切り)、弁当・ファストフード用など、用途に応じて加工されています。

「現状、初夏どり、年内どりですが、実需者からは年間を通した継続出荷が強く求められています。府丹後農業研究所や普及センター、JAの指導を受けながら4~5月期および10月期出荷の作型にも挑戦していきたい」と藤原部会長は言います。

JA京都丹後加工契約野菜部会 藤原典道部会長

市場出荷との違い

「契約栽培は市場出荷とまた違ったメリットがあります」と中嶋主任。具体的には次の通りです。

価格が決まっているので市況に生産者、栽培面積を増やし販路を開拓左右されにくい。

毎年、年度が始まる前の2月くらいに、栽培数量、価格などについて実需者と契約を結ぶので、収益計画が立てやすい。

出荷規格の幅が広い。

等級については、市場出荷と違い実需者の決めた規格を、規格品、その他規格品と規格の幅が広いため、栽培や収穫作業の大幅な削減゙可能なうえ、生産ロスが少なくて済みます。
しかし加工用野菜というと、日常の流通から外れた規格外品を加工するというイメージがいまだにありますが、原料の内部品質や味、加工するため歩留りが要求され、市場に出荷する品質と同等以上のものを求められているのが現状です。

コンテナ出荷のため、出荷資材の組み立てが不要で、出荷資材費の削減につながります。

キャベツの場合、収穫したキャベツを400kg前後入る大きなコンテナに入れるだけですので、箱詰めや計量の手間が省けます。
このように加工用野菜は、農家所得の向上に貢献できる品目です。

生産者、栽培面積を増やし販路を開拓

「加工契約野菜は、取引先の要望に応じて栽培を行いますので確実に販売できます。今後さらに需要が増える見込みで、取引先から出荷期間の拡大や他の品目についての要請も受けています。JAとしては、生産者の確保、栽培面積の拡大を図りニーズに応えていきたい。今後、面積を拡大するに当たっては、実需者の要望を聞き入れ、他産地との競合に勝たなければならない。そのためには、確実な品質と計画した数量は必ず出荷する必要があります。結果が悪ければ契約は無くなり、毎年が勝負です。部会員全員で原点に返って、土作り、新たな品目・品種・作型試験、ほ場巡回等を行い、実需者から期待され、指名される加工契約野菜の産地を目指したい」と中嶋主任は話します。

丹後広域営農センター 中嶋光主任

収穫後はすぐに予冷庫に入れて品質を管理

丹後広域営農センター
〒627-0051
京丹後市峰山町二箇1360-1
TEL.0772-62-7805

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