ホウレンソウに京かんざしを輪作
瑞穂支店
京かんざしを収穫する、生産者の軽尾一雄さん
京丹波町、瑞穂地域では、ホウレンソウの生育が良くない夏場に「京かんざし」を栽培し、連作障害の軽減と夏場の収入確保に努めています。
「京都瑞穂ほうれん草」
瑞穂地域では、旧瑞穂町時代の昭和62年頃からホウレンソウの栽培に力を入れてきました。生産者の軽尾一雄さん( 72 歳)はちょうど30年前、京都市内からUターンし、7人で「東又ハウスグループ」を結成、ホウレンソウの生産を始めました。
「JAに相談に行ったところ、初心者でも作りやすく、消費者は誰でも知っている品目として勧められました」と軽尾さん。全国屈指の産地、岐阜県などへ視察に出かけ、JAや普及センターの指導のもと「品質第一」をモットーに栽培を始めました。
「試行錯誤を続け、納得のいくものができるまで10年かかりました」と軽尾さん。その甲斐あって、今では「京都瑞穂ほうれん草」のブランドで高い評価を受けています。京都・大阪の市場では他産地と比べて高値で取引され、有名百貨店や高級料理店に流通しています。
連作障害の軽減と夏場の収入確保
京野菜部会瑞穂支部ホウレンソウ部会( 谷岡英樹部会長)は現在21人。ハウス115棟( 268a )でホウレンソウを栽培しています。
ホウレンソウは気温が高い夏場、種が発芽しにくく生育状況も良くありません。そのため、暑い間は栽培を休む農家が多くなります。
「瑞穂支店では、そうした生産者に向けて、6月から9月にかけて京かんざしを栽培することを提案しています」と同支店生産課の塩見誠営農相談員は話します。
「京かんざし」は、市場で有利に販売できる京都ならではの農産物として開発された若取りの金時にんじんです。現在、南丹市、京丹波町の17戸の農家がハウスで栽培しています。
栽培期間は金時にんじんと違って、6月から翌年3月まで、夏場でも栽培できます。また、輪作することでホウレンソウの連作障害が軽減されるという点に注目しました。
「瑞穂ほうれん草」と並ぶ特産に
現在、ホウレンソウ部会21人のうち10人が、夏場に京かんざしを栽培しています。軽尾さんはハウス3棟( 8・75a )でホウレンソウを栽培していますが、6月から翌年1月末にかけては、そこに京かんざしを組み入れています。
「京かんざしを作ることでホウレンソウが良くできます。品質の高い『瑞穂ほうれん草』を安定して出荷していくと同時に、京かんざしの品質を高め、次なる特産物に育てていきたい」と軽尾さん。また、塩見営農相談員は「京かんざしの栽培では、播種はホウレンソウと同じ播種機を利用できます。初期投資は一切必要ありません。夏場の農業所得向上のために取り組んでいただければ」と話します。
輪作の様子。一畝ごとに播種時期をずらして栽培
瑞穂支店生産課
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