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地元特産の「京こかぶ」を次代に

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地元特産の「京こかぶ」を次代に

地元特産の「京こかぶ」を次代に

京北支店生産課

畑で生育状況を確かめる村山部会長と谷口歩さん、村山耕大さん
畑で生育状況を確かめる村山部会長と谷口歩さん、村山耕大さん

京のブランド産品に指定される京北の「京こかぶ」。生産者が減少する中で、若き就農者が活躍中です。

高い品質から料亭や漬物店で使用

カブは最も古い野菜の一つで、今から1300年以上前の持統7(693)年にはすでに、五穀を補う作物として栽培されていました。その一種の小カブを京北で作るようになったのは今から50年以上前のこと。特産野菜の開発を進める中で、山あいに位置し、夏場は冷涼で昼夜の気温差が大きい京北の気候・風土が小カブの栽培に適していたことから、やがて京北全域で作られるようになりました、

「京北の京こかぶは、真っ白い肌、美しい形状に加え、きめ細やかで緻密な肉質、繊細な甘みが特長で、市場でも高い評価を受けており、主に料亭や漬物店向けの高級食材として流通しています」と、父親の代から続く京こかぶ農家の二代目で、JA京都京野菜部会京北支部京こかぶ部会の村山睦部会長は話します。

山水は、夏場は気持ちいいけど、冬場は切れるほどに冷たい
山水は、夏場は気持ちいいけど、冬場は切れるほどに冷たい

村山 睦部会長

長い歴史と高い品質から、2007年秋には「京のブランド産品」に指定されました。これは、優れた京都の農林水産物の中でも特に品質を厳選したものだけに与えられる「おいしさと信頼」の証といえるもので、この時には、篠支店の「聖護院かぶ」と2品目が8年ぶりに追加されました。

特産野菜の継承に危機感を募らせて

「栽培は、夏場の高温期を除き、春作(5~7月に収穫)と秋作(9~12月に収穫)の年間2回転。JAでは肥料や資材の紹介、情報の提供などをしています」と京北支店生産課の仲畑大さんは話します。

昔は冷涼な気候を生かして、商品が品薄になる夏場にも出荷していたそうで、最盛期には、生産者は12~13人を数え、出荷量は800tもありました。しかし近年は、いずれも激減しています。

理由はまず、農業全般に言われる、生産者の高齢化と後継者不足です。また、栽培から出荷まで機械化の導入が難しく、ほとんどが手作業です。特に朝早くから収穫し、水で丁寧に手洗いし、選別するなど、出荷・調製の省力化は難しく参入者が少ないのが現状です。

さらに、地球温暖化の影響で、これまでにない夏の高温や大雨など異常気象によって年々栽培しづらくなっています。その結果、2016年には、生産者は4人、出荷量は最盛期の10分の1まで減少(約80t)。特産野菜の継承が危ぶまれる状況でした。

京北で農業をするなら「京こかぶ」

そこに新規就農したのが、地元出身の谷口歩さん(当時21)です。プロの農家になるため、滋賀県のタキイ種苗の園芸専門学校で2年間勉強して故郷に戻りました。

谷口 歩さん

「農業に興味を持つきっかけは、祖母が育てる採れ立てのおいしい野菜。それを食べながら経営していけることに魅力を感じました。また、農業は頑張れば頑張るほど、品質が向上し、経営規模も拡大できる」と谷口さんは言います。

仲畑 大さん

当初はとうがらしやトマトなどの果菜類をハウスで栽培していましたが、京北で農業をするなら特産の「京こかぶ」に取り組もうと村山部会長から指導を受けて、日々励んでいます。

「谷口君が京こかぶを作るということで、それはうれしかった。頑張った結果、3年目には市場に認めてもらうまでになりました。これからも部会を盛り立てていって欲しいと思います」と村山部会長はエールを送ります。
現在、部会員は4人。この日、村山部会長宅では、「嫁いできてからずっと京こかぶと一緒」と話す妻の栄美子さん、今春、谷口さんと同じタキイ種苗の園芸専門学校を卒業した長男・耕大さん(20)も手伝いに入り、家族3人で調製作業を行っていました。

良い流れの中で産地復興、継承を

「谷口君が来るまでは、自分がやらなければと、先頭に立ち突っ走ってきました。今は少し余裕ができ、厳しい気象条件に合った品種の選定や栽培方法を試すなど、これまでやれなかったことを、少しずつ行っています」と村山部会長。谷口さんは「師匠の村山さんは、収穫が始まればシーズンが終わるまで一切途切れさせず、コンスタントに出荷しています。今はそれを目標にしています」と言います。

京北支店生産課の仲畑さんは「京こかぶ部会の生産者は少ない人数ではありますが、安定して市場出荷をしていただいており、JAとしても支援していきたいと思っています。今後、村山部会長、谷口さんのような方が増えて、良い流れの中で、京こかぶの産地の復興を目指し、次の世代に引き継いでいければ」と話します。


京北支店生産課
〒601-0271
京都市右京区京北熊田町広野23
TEL.0771-52-0071

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