小菊の所得増大に向けた取り組み
本店営農部
小菊の生育を確かめる瀬戸部会長と佐野主任
お盆に欠かせない小菊。JA京都花き部会とJA京都営農部では、最需要期のニーズを逃さないよう様々な取り組みを行っています。
京都府産の85%以上を出荷
小菊は栽培しやすく、比較的に価格も安定していることから京都府特産物育成協議会の地域重点推進品目に選ばれています。JA京都では、管内ほぼ全域4・6haで栽培が行われており、京都府産小菊の約85%以上を管内で出荷しています。
JA京都花き部会(会員158人)の瀬戸牧男部会長(京丹後市久美浜町)は、「丹後地域では、丹後町間人で早くから栽培されており、久美浜町ではそこから苗をゆずってもらい30年ほど前に始まりました。
私はJAの職員でしたが『自分でやらなわかるかいな』と言われ、20年ほど前に妻の手伝いで始めました」と話します。現在は10aのほ場で約7500本の小菊を栽培しています(今年度は約3万本を出荷予定)。
最需要期に開花を合わせることが一番重要
小菊には夏の盆用と秋の彼岸用があります。8月の盆用は、3月下旬から4月中下旬にかけて定植、秋の彼岸用は5月上旬から下旬にかけて定植します。JA京都では2020年度、129万本を出荷しました。
高温対策で開花時期を安定
「小菊の有利販売をするために様々な栽培技術の導入により、最需要期に秀品の出荷が増えるよう目指しています」とJA京都本店営農部企画営農課の佐野英明主任は話します。
そこで、生産者、JA京都をはじめ、農林水産技術センター、農業改良普及センターなどが一緒になって、品種の選定、試験栽培、技術開発などに取り組んでいます。
品種は、開花時期、作業性の良さ、市場からの要望などを踏まえて選びます。2020年から試験的に盆前咲きの「りょうま」(黄)、「かのん」(赤)、10月咲きの「しらほ」(白)を栽培。今年度は同じく盆前咲きの「しろがね」(白)を試験的に栽培しています。
白マルチに腰を下ろし、下葉取りをする
また、高温になると開花が遅れるため、白マルチを用いて温度上昇を抑制したり、人工的な光で照らすことによって、気象の影響で不安定になった開花時期を安定させ、狙った時期に開花させる「電照栽培」の技術や、植物の成長を調整する「エスレル」が用いられています。
所得増大に向けた販売戦略
安定供給とともに、所得増大を目指す様々な取り組みも行っています。
①市場の要望に応える商品づくり
品質はもちろんですが、最近は生花店だけでなく、量販店やスーパーで販売されることが多くなっています。そのため、花が長持ちする水揚げの良い品種、陳列する際に下葉取りなど調整作業をしなくて済む脇枝が出ない品種などを導入しています。
②前売り販売
小菊は、京都生花、梅田生花、伊勢生花などに出荷します。そのうち京都生花では「前売販売」を行っています。前売販売とは市場がセリの前に商品を確保するのに使われる方法です。
本店営農部が各支店と連絡をとり出荷数量を取りまとめ正午までに出荷先の指示をし、市場へ出荷数量を報告します。市場はセリを前に必要量を確実に手に入れることができ、セリとは違う高値で販売することができます。
③出荷資材の見直し
2020年には出荷箱のサイズを、既存の長さ100㎝から80㎝と短くした府下統一箱に変更しました。
「長さを短くすることで箱と花との隙間を減らし、輸送時の振動による花先の折れなど、品質低下のリスクを回避するために、市場・関係機関と調整し、箱のサイズを変更しました」出荷資材のコストを削減することができました。
④販売促進にフェアを開催
市場への出荷とは別に、JA京都農畜産物直売所「たわわ朝霧」では需要期を前に盆花・彼岸花フェアを開催。特設スペースを設け小菊をはじめとした、管内の旬の花きの販売を行い、直接消費者にPRしています。
今年の「盆花フェア」は8月7日(土)~9日(月)の3日間開催しました。「彼岸花フェア」は9月18日(土)・19日(日)に開催の予定です。
女性や定年退職者、農業法人に
「生産者の高齢化が進む中で、無理のない生産を継続していただくとともに、女性や定年退職者、農業法人を対象に生産者を少しでも増やしていきたい。市場の評価は高いので、丁寧な栽培を心がけ、所得向上につなげていければ」と瀬戸部会長。
佐野主任は「小菊は栽培しやすく軽量物であり、少しの面積からでも取り組めます。また、収穫も行いやすいので、女性や定年退職者などにも勧めていきたい。また、価格も比較的に安定しているので、農業法人などでの栽培を勧め、法人の収益向上に結びつけていただきたい」と話します。
本店営農部
〒621-0806
亀岡市余部町天神又2
TEL.0771-22-6985