多品目の通年出荷を20年以上続けるJA京都亀岡直売部会
亀岡中部支店生産課
亀岡直売部会のみなさん
JA京都亀岡直売部会では2000年から大手スーパーなどに採れたての野菜や果物を直売してきました。
新鮮な野菜が安く買える
野菜の直売は、「農業も待っていてはダメ、売り込んでいかなければ」と考えた長澤忠夫元部会長ら10人ほどの生産者が2000年7月、西友亀岡店の地下の空きスペースで野菜を並べたのが始まりです。
目立たない場所だけに、最初は全くお客さんが来ない日が続きました。そこで長澤さんたちは野菜の種類を増やし、できるだけ販売コストを抑え、JAでチラシを作ってもらいPRに努めました。その結果、「新鮮な野菜が安く買える」と評判になり、徐々にお客さんがつき始めました。
その後、店ではこのコーナーを1階の食料品売り場の一角に移転する計画を立てました。もちろんそこには野菜売り場もありましたが、産地直送の新鮮さをうりにしたこの野菜には「亀岡育ち」という名前をつけて販売。これが評判となり、食料品売り場全体の売り上げを押し上げました。
西友亀岡店の「亀岡育ち」の売り場
「このことを知った西友のほかの店からも『亀岡育ち』を扱いたいという話が来ました。生産地では、部会員となる農家が増え、最盛期には60人を超えました」と立ち上げメンバーの一人で、亀岡直売部会の現部会長・並河幹夫さんは話します。
直売先は20年で16店舗まで増えた
「亀岡育ち」はその後2001年6月に西友の桂店、9月に山科店(京都市)、翌2002年5月に川西店、新多田店(兵庫県川西市)で販売開始。現在はさらに、三条店、下鳥羽店(以上、京都市)、長岡店(長岡京市)でも販売しています。
2002年7月からは平和堂のアル・プラザ亀岡で販売を開始。こちらでは西友の「亀岡育ち」と区別して「亀岡うまれ」の名前で販売しています。現在は茨木店、高槻店(大阪府)、フレンドマート梅津店(京都市)の4店で販売しています。
「ほかには、イオンの亀岡店と京都西店(京都市)、JA京都のファーマーズマーケット「たわわ朝霧」、道の駅ガレリアかめおかの物産市場アトリオなど16店舗で販売されており、亀岡の野菜をPRしていただいています」とJA京都亀岡中部支店生産課の小川壮之係長は話します。
生産者を増やし規模を拡大
現在、直売部会の部会員は45人、都会からUターンした若い人や新規就農者など28歳から80歳台まで年齢層は幅広く、農業のスタイルも単品目を専門に作る人から50品目以上を手がける人まで様々です。この幅広さから多品目の野菜や果物が生産され通年出荷を可能にしています。
「生産者としては『亀岡育ち』や『亀岡うまれ』への期待を裏切らない品質の高い野菜を出荷することが務めと考えています。若手の質問にベテランがアドバイスを与えるなど、良い関係ができています」と並河部会長は話します。
集出荷はお正月を除く毎日行っています。午前6時、JA京都本店の裏手にある野菜集出荷場に生産者がコンテナで野菜を持ち込みます。それを行き先ごとに決められた場所に並べ、黒板に持ち込んだものを記入します。午前6時30分になると大型トラックがやってきて、荷物を積み込み各店舗に向けて出発します。
部会では、集出荷をはじめ、生産管理、品質管理、値付け、バーコードの添付、伝票管理、販売促進などすべての作業を、担当者を決めて行っています。特に出荷数や値段については各スーパーでの販売状況を見ながら検討を重ねます。
「このような自主独立した運営で20年以上にわたり消費者の支持を得続けている部会は全国でも珍しい。野菜に『亀岡育ち』『亀岡うまれ』の名を冠して付加価値を付ける一方で、集出荷の作業を自分たちで行うなどコストを抑え、収益性を高める持続性のあるビジネスモデルに、JAとしては生産指導、資材の供給など積極的に協力していきたい」と小川係長は話します。
各店への配送を運送会社に任せているのにも部会ならではの考えがあります。「朝の集出荷を終えれば、後は農作業に専念できます。手塩にかけて野菜を育てることができる」と並河部会長は言います。ただし亀岡市内の店舗へは部会員が当番を決めて直接運び陳列しています。日頃スーパーなどへ足を運ばない生産農家の男性に販売の現場を見てもらい、常に消費者を意識してもらいたいという狙いがあるのです。
「様々な取り組みの結果、2020年度の売上高は2億5千万円となりました。次の目標は3億円です。店からは『もっと荷物が欲しい』と言われており、まだまだ出荷できますが、そのためには生産者を増やし生産規模を拡大しなければなりません。私たちと一緒に部会に参加してくれる人を求めています」と並河部会長は話します。
トラックに積み込み作業を行うようす
亀岡中部支店生産課
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