丹後にニンジンの一大産地を
営農部丹後広域営農センター
ニンジンを機械収穫する藤原部会長と父の公道さん
京丹後市に広がる国営農地では、ニンジンの一大産地作りを目標に、生産部会を立ち上げ、その栽培を本格化しています。
新しく部会を立ち上げ
京丹後市の国営農地は、市内全域で53団地512haにわたり広がっています。国営農地では加工用の契約野菜・お茶・果樹等を中心とした営農を行っていますが、農地の効果的な利用を考えるなかで、ニンジンの一大産地化の取り組みがすすんでいます。
ニンジンを選んだのは、栽培しやすく機械化が図れ、大規模な作付けが可能であり、また、関西には大きな産地がないことにあります。
機械化による播種作業
「丹後からロットをまとめて京阪神地域に安定的に出荷できるような体制が構築できれば、一大産地にすることは可能」とJA京都京野菜部会丹後にんじん部会の藤原典道部会長(弥栄町)は言います。同部会は、取り組みの第一歩として昨年2019年10月、京丹後市全域から30代を中心とした若手生産者16人が参加して設立されました。今年は部会員も20人となり、1500aのほ場で10~12月収穫の秋冬作を中心に栽培を行っています。また、新たな作型として栽培が難しい6〜7月収穫の作型にも挑戦して出荷しました。
規格・品質の統一
「産地として認められるには、市場や消費者のニーズに合わせて、安定した品質と数量を出荷することが大事」とJA京都丹後広域営農センターで同部会を担当する藤村正美課長補佐は話します。
このことから、部会では、部会員が安定して出荷できる、品種の選定に取り組んでいます。
丹後農研の研究ほ場でニンジンの生育を確かめる
藤原部会長と熊谷主任
夏は暑く、冬に積雪がある丹後半島の気候と国営農地の土壌、栽培時期に合わせて品種を選び、実際に栽培してニンジンの出来を確認しています。また、国営農地に特化した栽培技術の研究を進めるため、京都府の農林水産技術センター丹後農業研究所(京丹後市弥栄町)でも試作をしています。担当する熊谷信嗣主任は「現在、10種類の品種で生育の様子を試験しており、収穫調査も行います。品種ごとの収量や大きさ、重さ、形などを調査し、部会の皆さんへ報告する予定です。まだ試行錯誤の段階ですが、有望な品種を見つけたい」と話します。
周年での栽培にも期待
藤原部会長はさらに「現在は秋冬作が中心です。現状では厳しいと思いますが、将来的には周年での栽培を目指してみたい」と言います。
ニンジンの旬は、春夏は4~5月、秋冬は9~12月。この期間が年間を通じてニンジンが多く出回る時期です。藤原部会長は、日本一の生産量を誇る北海道や九州が端境期となる6~8月の夏出しや雪の下から収穫する1~3月出荷ができないかと考えています。
周年栽培を可能にした後、それぞれの農家の年間の作付け予定の狭間に、ニンジンを加えてもらうことで、生産者が増えることに期待しています。
「丹後の野菜」を世の中に
大規模な国営ほ場で栽培をするには機械化は欠かせません。ニンジンはほとんどの作業を機械化することが可能です。
ニンジンは根物野菜だけに、初期に根が下方に伸びやすくするため深く土中を柔らかくし、種をまかなければなりません。そのためにトラクターに深耕ロータリーや播種機を取り付けて作業を、収穫は専用のニンジン収穫機を使います。さらに、収穫したニンジンは洗浄機、選別機などを通したのち、袋詰や箱詰をして出荷されます。
機械で大きさごとに選別
「JAとしては、栽培技術や出荷規格の統一化に向け研修会の開催、技術指導、生産資材や様々な情報の提供、さらに広範な売り先とのマッチングを行っていきたい」と藤村課長補佐。藤原部会長は「丹後の国営農地では、野菜、果樹、飼料作物、採種、茶など多くの品目が生産されています。当部会はできて間もない新しい部会ですが、今後、生産者、栽培面積ともさらに広げ、丹後にニンジンの一大産地を育てていきたいと思っています。そして、ほかの品目すべてを含めて『丹後の野菜』として認知度を高めることができれば」と話します。
営農部丹後広域営農センター
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