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伏見とうがらし産地再生を目指して

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伏見とうがらし産地再生を目指して

伏見とうがらし産地再生を目指して

京北支店生産課


葉についた害虫の駆除も大切な仕事

京都市京北では「伏見とうがらし」の産地を守ろうと、部会とJAが一緒になって生産拡大の取り組みを進めています。

伏見とうがらしの産地・京北

「京のブランド産品」にも選ばれる伏見とうがらしは江戸時代から京都の伏見付近で栽培されてきた在来種で、その地名から「伏見とうがらし」と呼ばれています。

長さは10~20㎝、トウガラシの中では最も細長い品種で別名「ひもとう」とも。また柔らかで辛味はなく、独特な風味と甘さを持ち合わせており「伏ふしみあまなが見甘長」とも呼ばれます。

「現在は丹波地域でたくさん作られるようになりました。中でも京北はずいぶん古くからの産地で、私が小さい頃にも目にしました」と当地出身で、京北支店生産課で伏見とうがらしを担当して4年目の一瀬康平営農相談員は話します。

伏見とうがらしが京北で栽培されるようになったのはいつからなのでしょうか。長年JAに勤める職員によると「35年ほど前には今の倍ほどあった」ということですがそれでは終わりません。当地では伏見とうがらしのことを「青と」と呼びますが、現在のJA京都京野菜部会京北支部「青と部会」が結成されたのが1977年6月ということですから、始まりとなるとさらに昔ということになるでしょう。

「青とを始めたのはおいしかったから」と和田部会長。豚肉を巻いて塩・コショウして焼くと絶品とのこと
「青とを始めたのはおいしかったから」と和田部会長。
豚肉を巻いて塩・コショウして焼くと絶品とのこと

定期的に様々な研修を用意

結成から43年と伝統のあるJA京都京野菜部会京北支部「青と部会」(和田英明部会長)では現在、22人の部会員が97・8aの面積で伏見とうがらしの栽培をしています。その80%が露地、残りがハウスです。収穫は露地が7月上旬から11月まで、ハウスが6月下旬から12月までです。

「ベテランの方が多く、京北一円で栽培されており、定期的に市場の視察を行うなど様々な形で研修を重ねています」と和田部会長は話します。

収穫前に実施する「生産者会議・互見会」では、集出荷計画や出荷規格を確認し、生産者のほ場で行う互見会では、生育状況を観察、その後の管理などについて指導を受けます。

最盛期が近づく7月下旬には京都青果合同株式会社(京果)で「市場視察研修会」を実施。流通の現場ではどのような商品が評価されるのか、時代に合った野菜のノウハウなど市場のプロから話を聞きます。

「お盆後の8月31日(野菜の日)には、知名度向上に向け「京都生協協同組合」で特別にブースを設け、対面販売で販売促進活動を行っていただいています」と一瀬営農相談員。部会にとっても、消費者との交流や消費拡大につながる貴重な機会です。

和田 英明部会長

新規就農者を熱心に勧誘

この10年の部会の様子を見てみると、2010年は、栽培面積102a、出荷量24210㎏、部会員数25人、それが2019年では、81・5a、9300㎏、部会員数19人となり、2020年には、97・8a、14000㎏(目標)、22人となります。

高齢化や後継者不足で生産者が減少する中、土砂災害でハウスがつぶれる被害などがあり、栽培面積は縮小傾向にありました。危機感を抱いていた部会では、最近、京北に就農された2人の生産者に伏見とうがらしの栽培を熱心に勧めました。その結果、部会に加入することになり、4月から新たに3人の新規就農者が青と部会に加入しました。

この新規就農者にIターン者が多いのも特徴です。自らも約20年前に京都府の相談窓口を利用して大阪からIターンした和田部会長は「農地や住居など受け入れ態勢が整っている、京阪神など都会に近い、京北では産地として、野菜等経営安定対策事業に加入しているなどの理由から、農業で生計を立てようとする人にとっては取り組みやすい」と話します。

一瀬 康平営農相談員

和田部会長は「1円でも多く稼ぐこと」が目標と言います。そのために「草丈1・5m(普通は1mくらい)」を目指しているそうです。それだけ元気に育てることができれば、病気にもかかりにくくなり「1株当たり4㎏」の収穫も夢ではないというのが持論です。

土中の水分量を測る機器や新しい肥料「アヅ・リキッド」なども取り入れています
土中の水分量を測る機器や新しい肥料「アヅ・リキッド」なども取り入れています

「部会として出荷している以上、全員が技術の向上と、ブランド産地としての信用力のアップを目指して取り組んでいくことが大切。昔と違って気象条件が厳しく、毎年が初めて栽培するような状況ですが、試行錯誤を繰り返しながらおいしい伏見とうがらしを消費者にお届けしたい」と和田部会長。一瀬営農相談員は「担当をして4年目と、まだまだ分からないことばかりですが、今年の1月に開催した生産者会議の中で設定した目標『1株4㎏、出荷量14t』に向けてみんなで助け合いながら近付けるようにしたいと思います。情報提供や指導をして生産者に寄り添いながら伝統の産地の再生が図れれば」と話します。


京北支店生産課
〒601-0271
京都市右京区京北熊田町廣野23
TEL.075-852-0071

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