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農チャンネル

2020年02月 Vol.215

高品質な「新丹波黒大豆」を支える取り組み

丹波支店生産課

「丹波黒」発祥と言われる地、丹波支店管内では、品質および作業効率の向上、最需要期の出荷を目指し、黒大豆の生産に取り組んでいます。

生産者を取り巻く厳しい栽培環境

「京のブランド産品」として消費者にも大人気の黒大豆。特にその発祥と言われる地、丹波支店管内で生産される黒大豆は大粒で品質が高いことから「黒いダイヤ」とも呼ばれ、高値で取引されています。

「京丹波町は丹波高原に位置し、夏は冷涼で昼夜の寒暖差が大きく、秋は深い霧が立ち、農産物の生育に適しています。その中で育つ黒大豆は、豆の表面に白い粉が付く『粉吹新丹波黒大豆』として知られています」と丹波支店の原田徳久支店長は話します。

しかし、生産量は減少傾向にあり、その原因はまず、高齢化や後継者不足による生産者の減少です。
また、黒大豆は栽培期間が約半年と長いうえ、その都度必要となる管理作業が多くあることから「苦労豆」と言われるほど。
特に収穫以降の乾燥、選別作業に時間がかかるため、乾燥作業が必要でない「枝豆」で出荷する生産者が増えています。

豆の乾燥具合を手と目とで確かめる井上組合長

さらに、近年では異常気象が大きな問題となっております。
「必要な時期に雨が降らず、水分不足と高温により、せっかく開花した花が落花し着ちゃっきょう莢せず、収量に大きな影響を及ぼします。
しかも気象条件は毎年違っていて、年々栽培が難しくなっています。
昨年は樹勢が強く、なかなか落葉せず、収穫が10日から2週間遅れました。
そういった意味では『毎年1年生』です」と話すのは、京丹波町富田地区で黒大豆づくりに取り組む富田黒大豆生産組合の井上益孝組合長です。
当地域は丹波支店管内でも品質の高い黒大豆が生産されることで知られています。
組合では、10人の組合員が合計1haのほ場で黒大豆の採種を行っています。
井上組合長はさらに個人で工夫を凝らした黒大豆の栽培をしています。

労働力削減と品質向上の取り組み

井上さんは定年後60歳から農業を始めました。今年で10年目になります。最初は集落の先輩から技術を学び、1人でも作業ができるように、機械化を進めるなど手間を省く工夫をしてきました。

(1) 機械化による直播栽培

当初から、ほ場の耕うんや排水溝の設置、中耕(土寄せ)などの機械化を目指しました。2年前からは播種の方法も変えました。それまではセルトレーで苗を育て、ほ場に移植するという一般的な方法でしたが、直播にしました。

「直播の場合、雨の降る前の日に作業を行わなければならないというタイミングの難しさはありますが、移植する手間が省け、その後の生育も安定しており、十分に労働力の削減が図られています」と井上さん。組合でも同様の方法で播種をしています。

富田黒大豆生産組合 井上益孝組合長

(2) 消石灰をたくさん入れる

「カルシウムの補給」と「酸性土壌の中和」を主な目的に使われる消石灰。一般的には10a当たり100㎏ほど入れますが、井上さんはその倍の200㎏と多量の消石灰を入れています。カルシウムは細胞壁の形成に寄与するため、特に根の先端で必要になります。
また、カルシウムを十分に吸収した野菜は、病気に強くなることも分かっており、黒大豆では「白絹病」などの発生を防ぎます。ほかに、肥料は作物の生育に合わせて、肥料成分の溶出を調節する被覆尿素肥料を使っています。

(3) 高くボリュームある畝をつくる

畝は、一般的な高さより10㎝ほど高く、膝ぐらいの高さで大きくつくります。そうすることによって黒大豆の栽培に適した排水の良い土壌状態を保つことができ、根の張りが良い太く丈夫な茎が育ちます。台風でも倒伏しにくく、実の粒は大きく立派に育ちます。

(4) 種子消毒

農薬は初期の病害虫に幅広く対応できるよう播種前に種子消毒を行っています。

「苦労豆」は「黒いダイヤ」

黒大豆の生産で本当に大変なのは、収穫後の乾燥、脱粒、選別の作業です。選別作業は専門のスタッフの手で行っています。

井上組合長は「良いことはオープンにして広げていきたいと思います。京丹波の黒大豆は『黒いダイヤ』とも呼ばれ、高い収入が得られる品目です。
富田黒大豆生産組合や私が実践の中で見出した技術が少しでも役立ち、黒大豆の栽培をやってみようという人が増え、さらに品質が向上するようであれば、これほどうれしいことはありません」と話します。

丹波支店 原田徳久支店長

また「伝統文化を守っていくためにも新たなニーズを掘り起こさなければなりません。近年では、道の駅などで農産物を買い求める人が増えている中で、厳選された品物を提供するなど地域で連携し対応しています。併せて、丹波支店では地域特産物を全国にお届けするため、お客様に対しダイレクトメールを発送し、注文対応を実施しています。生産者が努力し出荷いただいた黒大豆をできる限り有利に取り扱う体制をさらに強化したい」と原田支店長は話します。

手元を明るくして行う選別作業


丹波支店生産課
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