南天の産地再生を目指して
日吉支店
実の出来具合を確認する、吉田繁治副部会長
南天の産地として知られる南丹市日吉町。一時低迷した時期もありましたが、現在、産地再生を目指して新たな取り組みが進められています。
京都府内一の産地
日吉町では昔から花木の栽培が盛んで、南天も早くから育てられていました。昭和58年以降、町内各所に花木団地が拓かれ、シキミ、コデマリ、レンギョウ、南天などが作られました。その後、61年には中山間地域育成事業として取り組まれ、京都府内一の産地が形成されました。
「一日の寒暖の差が大きい気候や、生育に適した土壌が、南天の実を鮮やかな赤色にします。品質の良さでは岐阜県郡上市八幡町の『郡上南天』にもひけを取りません」とJA京都花き部会日吉支部副支部長・吉田繁治さんは話します。
10年前の平成20年度には約50人の生産者が約2haの畑で栽培。正月の縁起物として約400kgを出荷していました。
品質の向上と販路の開拓
南天の出荷量は伸び続け、平成25年度には828kgと最高に達しました。しかし28年度には262kg、29年度には326kgと大幅に減少しました。
「原因は、地球温暖化による夏場の厳しい暑さ、台風などの自然災害、木の老化などで良い実ができなくなったこと。生産者の高齢化、鹿による獣害などが考えられます」と日吉支店の塩貝克也職員は話します。
日吉支店の塩貝克也職員
そこで花き部会日吉支部と日吉支店では、南丹農業改良普及センターの協力を得ながら産地再生に向けて研修会を開催し、栽培方法、季節ごとの管理方法などを勉強しています。2月20日の研修会では、適期を迎えたせん定について学びました。
また、老木を更新する際、環境変化に強く、品質が高くて均一な品種に統一を図っています。
さらに販売面では、これまで観賞用にならず廃棄していた規格外品を、のど飴などの原料用として出荷しています。
山裾に南天が整然と並ぶ吉田さんのほ場
南天が農業経営に可能性を見出す
「南天の栽培は手間もかからず、特別な機械も必要ありません」と塩貝職員。実際、年間の作業は草刈りと、状況に応じた施肥と防除ぐらいです。最近では水田あとの平地を南天のほ場にする場合が多く、安全に作業ができるようになりました。また、南天は挿し木で増やしますが、栗のように難しくありません。しかも、米と比べて収益が上がる品目で、市場での需要もまだまだあります。
南天の栽培が広がり、その価値が高まることで、農業経営に可能性が見出されます。そうすると地域の農業が守られ、後継者問題にも新たな希望が持てるようになります。
「80歳も中ごろの私ですが、体力の続く限りまだまだ続けていきたいと思います」と吉田さんは話します。
南天は「難を転じて福となす」縁起物
日吉支店生産課
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