白小豆の増産を目指して
日吉支店生産課
手作業で摘み取られる白小豆
高級和菓子の原材料として珍重される白小豆。日吉支店では昔から、この白小豆を京菓子原材料専門店の依頼で契約栽培しています。しかし年々生産量が減少しているため、増産に向けた取り組みを始めました。
高級な生菓子の材料に欠かせない
日本で栽培されている小豆は、丹波大納言小豆に代表されるように、ほとんどが赤色です。白小豆は量が少なく、ほとんどが高級和菓子の原材料として使われます。
白小豆をこしあんにした和菓子
「日吉町とのお付き合いは、私が入社した頃には既に始まっていましたので30年ほど前になります」と京菓子原材料専門店・株式会社美濃与(京都市西京区)の西川渉統括本部長は言います。同社は、明治35年創業の老舗で、全国各地の銘菓店と取引があります。
また、代表取締役社長の長瀬文彦さんは、「白小豆のあんはさっぱりとした風味と舌触りが特徴で、高級な生菓子の材料に欠かせません。特に丹波高原の気候風土に育まれた日吉の白小豆は品質が高く、有数の和菓子店で使われています」と話します。
昨年度の収穫量は100kg
(株)美濃与の長瀬文彦
代表取締役社長
白小豆の栽培は、土作り・ほ場の準備をして、7月中旬に播種。後は病害虫や雑草の防除も合わせて行います。
8月上旬から花が咲く時期までに2回、中耕・培土を行います。この作業は、土壌の保水力・通気性を良くして干ばつ害を防止すると同時に、根域を拡大し倒伏を防止する効果があります。この干ばつ対策とうね間かん水は、高温が続き夕立が少ない近年、大きな意味を持つ作業です。
収穫は、葉が落ちて、茎や莢が褐色になると手作業で行います( 10月中旬)。莢ごと乾燥させ、脱粒後は日陰干しして仕上げます。その後、虫や霜による被害粒、しわ粒などを除去して出荷します。
「ほとんどが手作業のため、生産量には限りがあります。しかも10人ほどいる生産者は70、80代と高齢で、需要はあっても出荷できないのが現状です」と日吉支店生産課の待田浩行係長は話します。
最盛期には3tに達した生産量も、近年は数百?まで減り、昨年度はさらに開花期から着莢期(8~9月)の悪天候が影響して100kgまで激減しました。
農地を守ることにも
白小豆は日吉支店管内でしか作られていない貴重な商材です。何とか守っていかなければなりません。そこで、今年初めて白小豆の栽培こよみを作りました。今後は、説明会の開催、調整・選別作業の効率化の検討、やりがい創出のために、問屋、和菓子店の視察などを考えています。その際には、美濃与も協力は惜しまないということです。
同町志和賀で白小豆を生産する船越秀雄さん(85)は「栽培を始めて20年以上、今は7.5aの畑で作っています。手作業がほとんどで大変ですが、元気なうちは続けていきたい」と話します。
収穫作業に精を出す船越秀雄さん
また、待田係長は「日吉支店にとっても、JA京都にとっても非常に可能性のある商材です。生産者の皆様にはより意欲を持って取り組んでいただけるようにするとともに、少しずつでも生産者、生産面積を増やしていきたい」と話します。
日吉支店生産課
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