京丹波で広がる山ブキ栽培
和知支店生産課
セルトレーで芽を出す山ブキ。この後、畑に移植する
米価の低迷が続く中、各地で米に代わる作物が検討されています。京丹波町では、山に自生する山ブキを商品化する取り組みが進んでいます。
「宝の山」から商品化
京丹波町細谷地区はJR和知駅から北へ10kmほど行った所にある戸数17の小さな集落。山ブキの栽培は今から5年ほど前、同地区の農家組合が京都府南丹農業普及センターと一緒に始めました。
フキのとうの優良株(根)を切り揃える生産者
「小さい頃から多くの恵みをもたらす『宝の山』の中で生活してきました。しかしそれが引き出せてないのでは」と山ブキの栽培を始めたきっかけを、当時の農家組合長・今西正さんは話します。
山ブキの栽培は、山に自生する山ブキを持ち帰り増やします。簡単なようですが、出荷するとなると、形・色・香り・風味など品質や安定性が問われます。そのため生長の様子を見ながら、良いものを選んで試験栽培を繰り返し、何年もかけて良い種子を絞り込みます(系統選抜)。
「細谷地区の地道な努力により山ブキの栽培マニュアルも確立されていき、2年前からは、府、町、JA、普及センター、生産者などで構成する京丹波町農業技術者会議で取り組んでいます。今では京丹波町全域で作られるようになりました」と和知支店生産課の山下富生指導員は話します。
今年、初めて出荷
山ブキの間に生える草をコツコツと手で引く吉田組合長
「山ブキの栽培で一番大変なのは草取りです。刈り払い機は使えませんので、全て手で引きます」と現組合長の吉田以久子さん。しかし、機械が使えないために、新たな投資の必要もなく、お年寄りでもすぐに始められます。人口減少と高齢化が進む地域を守る一つの方法としても注目されています。
細谷地区では今年5人の生産者が80aで山ブキの栽培をしています。3月には初めて、少量ですがフキノトウを出荷しました。4月中旬からは山ブキを出荷しています。組合とJAでは、初めて出荷にこぎつけた今年は、生産から出荷まで一連の作業内容などを検証し、来年からいよいよ本格的な出荷を始めたいということです。
目標は、山ブキ栽培の先進地として知られる綾部市の水源の里。ここでは高品質の山ブキを10a当たり700kg収穫しています。
「水源の里を目標に最低500kg、いつかは肩を並べられるようがんばりたい」と皆さん口をそろえます。
和知支店生産課
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