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2022年03月 Vol.240

京みず菜と共に歩んだ30年

丹波支店生産課

「冬はハウスの中が快適」と、郁夫さんと節子さん
「冬はハウスの中が快適」と、郁夫さんと節子さん

京丹波町の片山郁夫さんは、早くから京みず菜の栽培を始め、現在は「農の匠」として産地を牽引しています。

1990年に栽培を始める

葉に深い切れ込みがあるのが特徴の京みず菜は、江戸時代の書物『雍よう州しゅう府ふ志し』(山城国(現京都府南部)に関する地誌)に、東寺や九条周辺で栽培されていた記録が残されています。そのことから1988年には「京の伝統野菜」に選ばれ、翌1989年から認証が始まった「京のブランド産品」の一つに選ばれました。

「クセがなくシャキシャキとした歯ざわりが特徴の京みず菜は、油揚げとの煮物、鍋物、カラシ和え、浅漬けのほか、小株のうちに早取りしたものは軟らかく、そのままサラダ感覚で年中味わえることから食卓に欠かせない野菜になっています」と丹波支店生産課の大萱聡課長は話します。

「私は1988年に経済連(現JA全農京都府本部)を退職し、その2年後の1990年から、当時京都府などが進めていたみず菜の栽培を始めました。旧和知町の時代になりますが、周りに栽培している人もなく、それから2、3年は試行錯誤の連続でした」と片山郁夫さん(89歳)は当時を振り返ります。

夫婦そろって収穫作業に専念
夫婦そろって収穫作業に専念

1989年には町内にある農業生産法人が栽培を開始。その様子を見ていたほかの人も京みず菜作りを始め、町内のみず菜農家も増えました。

土地に合った水の管理を考える

片山さんは現在、妻の節子さんと二人で、4棟のビニールハウス( 6a )で京みず菜の栽培をしています。片山さんは「みず菜は文字通り水を好みます。栽培する土地に合った水のやり方を考えることが大切」と話します。

収穫は年5回。冬でも青々と育つ京みず菜
収穫は年5回。冬でも青々と育つ京みず菜

京みず菜は、ハウスの中に畝を立て、種を直まきします。芽が出て、さらに5日ほどすると本葉が出ます。特にこの間は、水の過不足がないよう、生育の様子を見ながら水を与えることが大切です。

山裾に建つ片山さんのハウスは、水が豊富な川のそばのハウスと違い、谷水を使います。は種前の耕運で地下水の吸い上げがいったん止まるので、は種直後のかん水は充分な量を施し、地下水の吸い上げにつなげて前半の発芽および生育に適切な水分が保てるようにしています。

片山 郁夫さん

栽培後半になるとみず菜は多湿を嫌います。畝は水はけがよくなるようやや高めに立てています。また、厳しい寒さによる「とう立ち(抽台)」(花茎が伸びてかたくなり、食用に適する時期を過ぎる)を防ぐため、ハウスの中でさらに覆いをかけます。

「暖かい時は、は種から収穫まで40~50日、年間5回収穫しています。冬場は寒さが厳しく60日以上かかっています」と片山さんは話します。

長年の経験から「農の匠」に認定

片山さんは、京みず菜の栽培を始めて32年。長年の経験から培われた京みず菜の周年栽培の技術が高く評価され、京都府「農の匠」に認定されています。

大萱 聡課長

「農の匠」は京都府が全国に先駆けて設けた制度です。農林水産業の発展と豊かな農山漁村づくりのためには、農山漁村の生産者が保持している優れた生産・生活技能の保持と次世代への伝承活動を行うことで、「楽しく働き」「豊かに暮らし」「農山漁村文化をいかす」取り組みの推進を図ることが大切と考えられました。そして1997年度、京都府農山漁村伝承技能登録・認定制度を創設し、2020年度現在、農業分野で610名の技能登録を行い、その中から優秀技能者84名を「農の匠」として認定しています。

片山さんの認定理由は、「ブランド京みず菜の創成期から、独自に開発した水管理技術による周年安定生産技術を確立するとともに、その高い技術力をもってブランド京みず菜の産地形成と次世代の担い手育成に大きく貢献したこと」でした。

夫婦二人で力を合わせて続けていきたい

「旧和知町は黒大豆、丹波くりと名産がある土地柄だけに、京みず菜もそれと並ぶ名産に育てたいとの思いで頑張ってきました。この年齢になっても仕事があることがありがたい。夫婦二人で力を合わせて自分たちのペースで、できる限り続けて行きたい」と片山さん。大萱課長は「旧和知町の京みず菜農家は、農業生産法人『株式会社みとけ』1法人と片山さんら10人。みず菜の栽培は、力がいらない、比較的簡単にできるため、お年寄りや女性でも始められます。また、片山さんのように周年で生産回数を増やすことによって、経営の安定が図れます。そのメリットをPRし、産地と育てていければ」と話します。


丹波支店生産課
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