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2021年07月 Vol.232

消費者ニーズを先取りする販売戦略

久美浜支店生産課

着果の様子を確かめる岡下部会長
着果の様子を確かめる岡下部会長

久美浜支店では、市場からの相談を受けて「完熟かぼちゃ」の生産を2019年から開始しました。

味がのった完熟かぼちゃ

「完熟かぼちゃ」の生産は、京都府宇治市にある地方卸売市場「京印」(京都南部青果株式会社)から、株式会社万代用の「特色ある商品」を作って欲しいと依頼を受けたのがきっかけでした。

株式会社万代(本社・大阪府東大阪市)は、大阪、京都、兵庫など関西圏を中心に約150店舗を展開するスーパーマーケットです。青果の中でもカボチャは家庭の食卓でも人気があり、同社では、甘さ、おいしさはもちろん、さらに味をのせた完熟の特別なカボチャを並べれば、さらに販売を伸ばせると考えました。

熟成中の「えびす南瓜」
熟成中の「えびす南瓜」

2019年、10年以上つきあいのある卸売業者からこの話を聞いたJA京都久美浜支店生産課の畑中孝昭主任は「消費者ニーズを先取りする販売のプロが、野菜栽培が盛んな久美浜町を見込んでの要望だったと思います。

私は長年、特産のスイカやメロンの栽培を担当してきましたので、メロンのようにカボチャを作れば、卸売業者が求める、味ののった甘くておいしい完熟かぼちゃは必ず作れるという自信がありました」と話します。

岡下 博之部会長

栽培しやすい「えびす南瓜」

「完熟かぼちゃ」の栽培は、久美浜町南瓜部会が中心になって取り組んでいます。カボチャは久美浜町で昔から栽培されてきた品目で、管内の川上営農組合が生協に出荷していました。久美浜町南瓜部会は6~7年前に、そこから独立して誕生しました。

「会員は13人です。全員が『完熟かぼちゃ』の栽培をしており、今年は合わせて396a作っています」と久美浜町南瓜部会の岡下博之部会長は話します。

品種は、最も一般的なカボチャ「えびす南瓜」です。西洋カボチャの一種で、おいしいカボチャの代名詞とされています。人気品種の中でも環境適応幅が広く、安定した生産が可能で、経験が浅くても取り組みやすい品種です。

時間をかけてじっくり育てる

「完熟かぼちゃ」栽培の大まかな流れは次の通りです。

  • 播種(3月中旬)
  • 定植(4月下旬)
  • 整枝
  • 交配(5月下旬)開花時期にハチが自然交配。ハチの動きが悪い時は人工交配
  • 子づるの脇芽と雌花の整理(着果するまでに2~3回)
  • 草勢と追肥(1番花の着果頃に、つる先に追肥)
  • マット(敷きわら資材の設置)病気の感染や腐敗のリスクを下げる
  • 球回し(収穫10日前)色付きをよくします
  • 病害虫の防除(うどんこ病、つる枯病、疫病を防ぐ)
  • 収穫(3月中頃播種の作型で7月下旬)

部会員の吉田一也さんは、国営ほ場で行っていた葉タバコ栽培が廃作になったのをきっかけに、約6年前にカボチャの栽培を始めました。今年度は部会員の中で最も広い60aのほ場で栽培しています。

「国営ほ場は花崗岩質の水はけの良い土壌のため、かぼちゃの栽培に適しています。完熟させるには、産地独自の温度管理を厳守してじっくりと栽培する、収穫は決して急がず、適期まで待つことが大切です」と吉田さんは話します。収穫後はキュアリング(貯蔵)処理をして追熟させ、糖度を上げてから出荷します。

近隣町と協力して一大産地に

「2020年は約2000ケース(20t)出荷しました。売れ行きが好調だったようで、今年は契約希望数量が昨年の3倍の約6000ケースまで増えました」と畑中主任。

吉田 一也さん

ここで問題となったのが生産体制です。久美浜町の耕作面積は昨年の332aから396aと64a、約20%増えました。しかし、3倍となると町内だけではとうてい対応できません。
そこで、南瓜部会では近隣の町に協力を要請し生産農家を募りました。その結果、峰山(30a)、大宮(90a)、弥栄(140a)の3町から8農家260aが加わり、久美浜の396aと合わせて656aまで広げることができました。

「せっかくのチャンスですから、1円でも農家の収入が上がるよう丁寧な仕事をしておいしい『完熟かぼちゃ』を届けたい」と岡下部会長。畑中主任は「耕作面積だけ見ると、昨年度の約2倍と先方の希望までは届きませんが、生産規模の拡大を図ることができました。まだまだ売り込む余地はあるわけですから、新規就農を目指す若い人などを募り、将来的には京丹後を「えびす南瓜」の一大産地にできればと期待しています」と話します。

畑中 孝昭主任


久美浜支店生産課
〒629-3551
京丹後市久美浜町永留250
TEL.0772-84-0801

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