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2019年06月 Vol.207

山椒を組み入れ、農家所得の向上へ

丹波支店生産課


実が付き始めた房を確かめる白樫さん

5月末から6月中旬にかけて管内各地で出荷される山椒。特に和知地区の実山椒は、京都市場や小売業者からの引き合いが強く、高値で取引されています。

出荷単価が高く、生産を推奨

和知地区で本格的に山椒の栽培が始まったのは、今から40年以上前。山あいの下乙見区の農家組合が取り組みました。当時、組合長を務めていた白樫貢さんは「3年計画で、区内の東山、尾崎、西山団地に約500本の山椒の苗木を植えました」と当時を振り返ります。

山椒栽培に目を付けたのは、昔からどこの家にもあったように、和知地域の気候風土が山椒の栽培に適していた。栗や果樹よりもせん定や施肥の手間がなく、また収穫時期は田植えが終わった5月下旬と米作りの合間に行えるという理由からでした。

平成に入った頃から、市場や小売業者の間で香りの高さが徐々に評判を呼び、また安全・安心な国内産の農産物の需要が高まり価格も安定していきました。平成17年頃が最盛期で、管内の大小300軒以上の農家が、4・3tを出荷しています。

近年、生産者は減少していますが、出荷単価が高いことから、丹波支店生産課では農家所得を向上させる品目の一つとして提案しています。

出荷額が150万円に上ることも

京丹波町では、山椒を重点栽培品目の一つに掲げ生産振興をしています。その先頭に立つのが山椒生産の第一人者、前述の白樫さんです。教員を退職後、「わち山野草の森」の園長を務めるなどの経験を生かし、「作業性の向上と大粒果・収穫量の増大」を目標に長年、研究を重ね取り組んできました。

「山椒の収穫は5月下旬の約10日間が勝負です。早くても遅くても品質が低下してしまいます。その間に、どれだけたくさんの実を収穫することができるかが勝負です」と白樫さん。生産者の中には1シーズンの出荷額が150万円に上ることもあり、その収穫量の目安は1人が1時間で2㎏、1日10時間働くとして20㎏だそうです。「この量を効率的に収穫するには、1年を通して管理することで、たくさんの実がついた大きな房を作ることです」と言います。

タブーとされたせん定で木を活性化

白樫さんがそのために、長年の研究と実践の中で確立した栽培のポイントの第一がせん定です。山椒は、根の張りが浅くデリケートな植物のため、せん定はタブーとされてきました。

しかし、白樫さんは「問題は木の地上部と地下(根)部のバランス。それが保たれると木の寿命は長くなります」と言います。

せん定は、枝が竹ぼうきのように密集してきたら行います。時期は冬場の12月下旬~2月下旬。6月にすると新芽が出ないことが多く、また強せん定をすると枯れることがあります。方法は、主枝の本数の2~3割程度を、主枝の付け根から10~15㎝のところで切り落とします。さらに主枝と亜主枝(主枝から分岐した枝で、側枝、結果枝などを付け、主枝と並んで骨組みになる枝)の間の細かい枝を切り取ります。

せん定によって、その年の収穫量は前年に比べ2~3割減少します。毎年一定の収穫量を確保するためには、毎年5本程度を新植します。1年後には、成長の良い芽を残し、込み合った亜主枝を間引きます。やがて新しい枝が次々と伸び、木が生き返ることにより、大きな房を付けるようになります。その結果、3年目には収穫も作業効率も向上し、労働生産性が高まります。

ほかにも数々のポイントが

【混植】栗や柿の生産者でもある白樫さんは、その栗や柿の間に山椒を混植しています。山椒は強い日の光を浴びると硬くなり粒が大きくなりません。栗や柿の木で日差しを遮り、山椒の木にやわらかな日差しが届くようにします。

【施肥】山椒は施肥をしなくても収穫ができると言われますが、品質の良い山椒を生産するには定期的に施肥をすることを勧めています。白樫さんは、ほ場に大量の鶏糞を入れています。そのため除草作業は欠かせません。

【挿し木】挿し木で増やすことによって、優良な苗木を確実に作ることができます。

白樫さんは、せん定や挿し木、接ぎ木の方法などをJA京都管内の生産者に紹介する研修会を開くとともに、他府県からの視察も受け入れ、栽培技術を伝授しています。

丹波支店でも山椒にかける期待は大きい。地域特産品として生産拡大に向けての取り組みも進めています。「大型機械を使う必要がなく、設備投資しなくても始められる。また、年をとった人でも安全に、無理なく取り組めます」と白樫さん。山椒栽培が山間地の農業を守る一つの契機になればと期待します。


丹波支店生産課
〒622-0214
京丹波町蒲生梅の木5-1
TEL.0771-82-1125

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